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満身創痍リバプール、DF壊滅&主将離脱でも補強しない? “博学の23歳CB”や南野拓実もチャンスか
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images
posted2020/11/22 17:00
ファンダイク(中央)に続きジョー・ゴメス(左)、アーノルドが負傷離脱。リバプールにとって大きな痛手だが、クロップ監督はどう乗り切るか
190cmフィリップスをクロップも評価
ナサニエル・フィリップスはこの危機を乗り越えるカギを握っている。昨季ドイツ2部のシュツットガルトへの武者修行を経て、今季からトップチームに籍を置くボルトン出身のセンターバックだ。ちなみに2016年、経済学を学ぶためアメリカのノースカロライナ大学にスカラシップで入学予定だったが、渡米する直前にリバプールからオファーを受けたことで入学を取りやめた過去がある。
そんな博学の23歳が先発で出場した第7節ウェストハム戦で見せたパフォーマンスは、プレミアデビューとしては非の打ちどころがなかった。
特に190cmの長身を生かしたエアバトルの強さは見事で、空中戦勝利回数は両チーム最多の5回を記録。同じく空中戦が強みのセバスティアン・アレを完璧に抑えてみせた。
クロップも試合後「空中において彼(フィリップス)はモンスターだ。ピッチ上でのチャレンジを好み、そして今日の彼は信じられないほど素晴らしかった」と華々しいプレミアデビューを飾った23歳を手放しで称賛した。
もちろんファン・ダイクが与える絶大な安心感には及ばないが、少なくとも空中戦の強さにおいては彼の穴埋めが十分できる選手だ。
キャラガーも認める19歳DFと18歳有望株も
フィリップスが“プランB”なら、“プランC”はアカデミー出身の19歳リース・ウィリアムズだろう。
今季からトップチームの一員としてプレーしているリースは、カラバオカップとCLで出番を得ている。直近のCLアタランタ戦ではGKアリソン・ベッカーのビッグセーブに救われるシーンがいくつかあったが、フル出場でクリーンシートに貢献した。
かつてリバプール一筋で活躍したジェイミー・キャラガー氏も「彼(リース)がもたらすものは、ファビーニョやジョー・ゴメスにはない大きなサイズと空中戦の能力だ」と195cmの大型センターバックに太鼓判を押した。
まだリーグ戦の出場機会はないが、現在のペースで順調に大舞台での経験を積んでいけば、近いうちにプレミアデビューの時は訪れるだろう。
プレミアリーグの登録メンバーには入っていないが、プレシーズンで存在感を示した18歳のビリー・クメティオも大きな可能性を秘めている。ファビーニョが負傷離脱した際、クロップは彼ら3人の若手選手への信頼を語り、出場機会が訪れることを示唆した。
もし冬までにフィリップス、リース、クメティオの奮起で難局を乗り越えられることが証明できれば、リバプールにとって今冬の補強の必要は無くなるわけだ。