酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
【記録で2020セ総括】エース中心の「昭和スタイル」、二部制なら後期は中日優勝、響いた「CSなし」
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/11/17 11:00
14勝を挙げて最多勝を獲得した菅野智之。他球団の視点に立てば彼を攻略できず、巨人独走を止められなかったと言える
打者の総合指標RCでトップは……
打者の総合指標であるRC(Runs Created)のランキングを見ておこう。
<セ・リーグRC5傑>
1村上宗隆(ヤ)103.28
2鈴木誠也(広) 91.81
3丸佳浩(巨) 87.76
4梶谷隆幸(De) 85.87
5岡本和真(巨) 84.49
村上がかなりの差をつけてトップに立つ。二冠王の岡本は5位、首位打者のDeNA佐野は79.30で7位。村上は打率も3割を超え、87四球を選んだ。総合的な指標でまだ20歳の村上がトップに立ったのは特筆に値しよう。
菅野vs大野、最優秀中継ぎは3人が
続いては、投手成績を見ていこう。
・最多勝 菅野智之(巨)14勝 3回目
・最多セーブ スアレス(神)25 初
・最多ホールドポイント
祖父江大輔(中)30 初
福敬登(中)30 初
清水昇(ヤ)30 初
・最高勝率 菅野智之(巨).875 初
・最多奪三振 大野雄大(中)148 初
・最優秀防御率 大野雄大(中)1.82 2回目
巨人の菅野は3回目の最多勝。最高勝率とともに二冠を獲得。中日の大野は最多奪三振と最優秀防御率の二冠と、両エースが並び立った。沢村賞の選考は割れるだろう。
菅野は最終登板となった11月14日のDeNA戦で5回無失点、15勝目の権利を得て降板したが後続が打たれて白星を逸した。しかし防御率は1.97(3位)と1点台に復帰した。このあたりの数字を、沢村賞選考委員がどう評価するか。
救援陣では、ホールドポイントで決まる最優秀中継ぎ投手に3人が並んだ。
福と祖父江、中日のチームメイト2人がタイトルを分け合ったが、ヤクルトの2年目清水が11月8日の試合でホールドを稼ぎ、ぎりぎりで3人目に滑り込んだ。清水は新人王の資格を有しており、これも記者投票に影響する可能性がある。