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【記録で2020セ総括】エース中心の「昭和スタイル」、二部制なら後期は中日優勝、響いた「CSなし」

posted2020/11/17 11:00

 
【記録で2020セ総括】エース中心の「昭和スタイル」、二部制なら後期は中日優勝、響いた「CSなし」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

14勝を挙げて最多勝を獲得した菅野智之。他球団の視点に立てば彼を攻略できず、巨人独走を止められなかったと言える

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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Hideki Sugiyama

 11月14日、2020年のセントラル・リーグの公式戦が終了した。昨年の11月14日と言えば日本シリーズが3週間前に終わり、12球団合同トライアウトもその2日前に終了している。若手選手が秋季キャンプで汗を流している時期だ。

 11月中の公式戦は1980年のパ・リーグ以来。このときは、10月上旬に積み残した消化試合を日本シリーズ後に行ったものだ。今季は開幕が3カ月も遅れたために11月に入ってもレギュラーシーズンが続いていたのだ。

 今季のセ・リーグはペナントレースとしては盛り上がりに欠けた。巨人が早々に独走態勢に入り、他球団が付け入るスキがなかったのだ。

 もし、今季のセ・リーグが前期、後期の二部制だったとすれば――こんな成績になる。

<前期60試合>
1巨人 36勝21敗3分 率.632 差-
2DeNA 30勝27敗3分 率.526 差6.0
3阪神 29勝28敗3分 率.509 差7.0
4中日 26勝30敗4分 率.464 差9.5
5広島 24勝30敗6分 率.444 差10.5
6ヤクルト 24勝31敗5分 率.436 差11.0

<後期60試合>
1中日 34勝25敗1分 率.576 差-
2巨人 31勝24敗5分 率.564 差1.0
3阪神 31勝25敗4分 率.554 差1.5
4広島 28勝26敗6分 率.519 差2.5
5DeNA 26勝31敗3分 率.456 差6.0
6ヤクルト 17勝38敗5分 率.309 差14.0

 巨人は開幕4連勝とスタートダッシュに成功、6月を7勝2敗1分、7月も14勝9敗1分と好調を維持し、60試合時点の8月末時点では2位のDeNAに6ゲーム差をつけていた。

マジック点灯から優勝までは18勝19敗

 一方で後半の巨人は急に弱くなったわけではないが、他チームと勝ったり負けたりを続けていた。しかし前半の「貯金」がモノを言って、首位を脅かされることはなかった。

 前半戦2位だったDeNAが後半は負けが込んだこともあり、後半戦でそれほど強さを見せたわけではない巨人が、独走状態のままでペナントレースが終結した。

 巨人のマジック点灯はまだ72試合目の9月15日。ここから優勝決定の10月30日までの勝敗は、18勝19敗3分、勝ったり負けたりしながら少しずつマジックを減らしていった。

 首位・巨人を脅かすチームが現れなかったことが、今シーズンの盛り上がりのなさの原因になった。

 前半戦の巨人は「菅野智之」に尽きる。

 9勝0敗。巨人の前半戦の貯金の6割を1人で稼いだ。エースを中心にチームが走るという「昭和のスタイル」で、アドバンテージを得たのだ。

 もう1つ言えば、CSがなかったことも大きい。後半戦だけでいえば中日はエース大野雄大の活躍もあって久々に元気だったが、巨人との差は大きく「逆転優勝を狙え」という声は出なかった。CSがあれば中日、阪神、広島の2位争いもあったかもしれないが今シーズンは「2位も6位も同じ」のため、盛り上がりに欠けたのだ。

【次ページ】 打撃タイトルはフレッシュな顔ぶれ

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