酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
【記録で2020セ総括】エース中心の「昭和スタイル」、二部制なら後期は中日優勝、響いた「CSなし」
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/11/17 11:00
14勝を挙げて最多勝を獲得した菅野智之。他球団の視点に立てば彼を攻略できず、巨人独走を止められなかったと言える
打撃タイトルはフレッシュな顔ぶれ
続いては個人成績を見ていこう。まずは打撃成績から。
<主要タイトル>
・首位打者 佐野恵太(De).328 初
・本塁打王 岡本和真(巨)31本 初
・打点王 岡本和真(巨)97打点 初
・最多安打 大島洋平(中)146安打 2回目
・最多盗塁 近本光司 (神) 31盗塁 2回目
・最高出塁率 村上宗隆(ヤ).427 初
フレッシュな顔ぶれがそろった。DeNAの佐野は初の規定打席到達で首位打者。初の規定打席で即、首位打者は古田敦也、イチロー、青木宣親、角中勝也らに続いて2リーグ分立後16人目となった。
本塁打、打点の二冠は巨人の岡本和真。巨人の二冠王は、2012年の阿部慎之助(打率と打点)以来。ちなみに松井秀喜は24歳の1998年に初めて本塁打と打点の二冠王になっているが、今年の岡本も同い年。彼はこの記録をどこまで伸ばすだろうか。
ヤクルト村上が“イチロー&川上超え”
大島は、昨年に続いての最多安打獲得である。このタイトルは若くて足の速い選手が有利だが、大島は今季35歳。35歳以上での最多安打は2009年の巨人、アレックス・ラミレス(35歳、今季までDeNA監督)以来だ。大島は打率も.316で4位。竜のリードオフマンは全く衰えていない。
盗塁も2年連続の阪神の近本。ただし近本の盗塁刺はリーグ2位タイの8、盗塁成功率は79.5%となっている。パのソフトバンク・周東佑京の.893(50盗塁6盗塁刺)に比べると見劣りする。
最高出塁率は、これも初めてのヤクルト・村上。出塁率は、本塁打が多いスラッガー、そしてじっくりと投球を見ることができるベテラン選手の方が高い傾向があるが、村上は20歳でのタイトルである。
これは1994年オリックスのイチロー、1941年巨人・川上哲治の21歳を抜く、最年少でのタイトル獲得だ(※川上の時代はタイトルとして表彰されていない)。