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他球団スカウト「あぁカープに獲られた!」「1番のビックリ指名はDeNAの…」 ドラフトウラ話【広島・DeNA編】
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJiji Press
posted2020/11/12 17:04
広島から4位指名を受けた小林樹斗(智弁和歌山高)
【DeNA編】「いちばんビックリした指名ですか?」
「いちばんビックリした指名ですか?」
問われたあるスカウトが、ニヤッとした。
「ビックリしたっていうか、ドラフトも変わってきたなぁって、みんなでなんだかしみじみしたのは、DeNAの小深田ですねぇ……」
DeNA4位指名・小深田大地内野手(履正社高・178cm88kg・右投左打)。
小深田大地と小深田大翔。
楽天のルーキー・リードオフマンと一文字違いで、あまり見ない苗字によく似た下の名前。出身も、共に兵庫の姫路とその近郊。
恥ずかしながら、すっかり「兄弟」と決めつけてしまって、今回のドラフト解説では、はっきり「兄弟!」とやらかしてしまった。まったく、言い訳のしようもない大ポカだった。
高校通算35本塁打の左の大砲。昨年夏の甲子園では、阪神に進んだ井上広大外野手と共に、履正社高初優勝に強打、長打で貢献した。
「ウチのスカウトでも『高校生でいちばんいいバッティングする』って言う人もいるぐらいで、確かに屈指のスラッガーには違いないけど、言うたら、打つだけでしょ。まあまあ投げられるかもしれないけど、足がない。使うとしたら、ファーストでしょ」
育成ならわかるけど、支配下ドラフトの、それも“4位”で来たから驚いたという。
「強肩捕手の栄枝(裕貴・立命館大・阪神4位)も獲ろうと思えば獲れたし、巨人が指名した伊藤(優輔・三菱パワー・4位)や秋広(優人・二松学舎大附高・5位)みたいな即戦力系のピッチャーや、走攻守に“投”まで揃ったのも残っていたのにね」
バッティング能力だけが突出した高校生を、支配下4位で指名。近年では、珍しいことでは……という。