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他球団スカウト「あぁカープに獲られた!」「1番のビックリ指名はDeNAの…」 ドラフトウラ話【広島・DeNA編】
posted2020/11/12 17:04
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Jiji Press
「2020ドラフト答え合わせ」第3回は広島・DeNA編。スカウトが明かす「1番ビックリした指名」は誰なのか――。
【広島編】スカウトが4人も5人も「六大学はないな……」
昨年「2019ドラフト」での広島カープは、前日に「1位、森下暢仁!」と宣言していた。
それは、明治大・森下暢仁投手の1位入札が“重複”すると考えたからだ。重複なら宣言すれば、確率低下を懸念して、ほかの選手に方向転換する球団も出てくるだろう……そんな期待もあったのかもしれない。
ならば今年「2020ドラフト」は、果たしてどう出てくるのか。事前発表があるとすれば、早稲田大・早川隆久投手なのか、近畿大・佐藤輝明内野手なのか……いずれにしても、重複必至の選手にいく場合だ。
なければ、間違いなく「一本釣り狙い」。ならば、トヨタ自動車・栗林良吏に違いない。
私は一本釣りだと踏んでいた。大瀬良大地、中崎翔太、野村祐輔……故障者続出の投手陣と5位低迷のチーム事情。こういう時に必要なのは、「MAX」の大きさでびっくりさせるヤツじゃない。存在は地味でも、試合を作ってチームを勝ちに導ける技術と負けじ魂を持ち合わせたヤツだ。
今年なら、まず「栗林」だ。
ドラフトの2週間前、東京六大学のリーグ戦で、1位指名候補の怪腕・剛腕揃い踏みみたいな日があった。
早稲田大・早川投手(楽天1位)をはじめとして、慶應義塾大・木澤尚文(ヤクルト1位)、法政大・鈴木昭汰(千葉ロッテ1位)、高田孝一(楽天2位)……次々とマウンドに現れる1位候補を前に、12球団のスカウトたちが大集合だ。
その中に、広島カープのスカウトたちが4人も5人も姿が見えたから驚いた。いかにも「大学投手注目」。こんなにわかりやすいことをする球団ではない。
六大学はないな……。「広島・栗林」を確信した瞬間だった。