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早川隆久、高橋宏斗は競合必至 広島&楽天が“単独”で狙うべきピッチャーとは? 2020年ドラフト目玉候補<投手ベスト3>
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
posted2020/10/18 11:03
ドラフト目玉ベスト3 投手編(1)トヨタ自動車・栗林良吏(24歳・177cm80kg・右投右打・名城大)
投手編(隠し玉)日本文理大・藤野幹大(190cm81kg・右投右打)
さあ、外野手からお伝えしてきた「2020ドラフトポジション別注目選手」。最後の1人は、「投手」の隠し玉だ。
190cmのサイドハンドが、145キロ前後の速球とスライダーとフォークを、右打者にも左打者にも、膝元へも外角低めへも決められる……こんなピッチャー見たことありません! だから推すのが、日本文理大・藤野幹大投手(190cm81kg・右投右打)である。
大分にある大学で、九州の大学が加盟するリーグなので、“露出度”が低くなっている。「数字」で表現しにくいこういうタイプの投手は、今のインターネットメディアでも、なかなか取り上げられない。
190cmの長身がマウンドに立って、長い腕をサイドにしなやかに振ったら、それだけで、どんなに打ちにくいか。右打者は、自分のほうにボールが来そうでなかなか踏み込めないし、左打者にも外角が使えるから目から遠く、インパクトで正確に捉えにくい。
昨年の大学野球選手権大会では、東京ドームのマウンドで、その「打ちにくさ」を存分に発揮してベスト8に進出した強豪・大阪商大を2点に抑えて、11三振を奪った。
藤野のように球道が個性的で、前例のないタイプの投手がプロに進んだ場合、審判も球道がわかりにくいので、ストライクゾーンがより狭くなることがある。そのへんを、ちょっと心配しているが、ドーンと真ん中勝負でいって、勝手にちょいズレるぐらいの「内・外角」でちょうどよい。ひと口にいえば、「大型・戸郷(翔征・巨人)」だ。
この藤野、実はなかなかプロ志望届を出さなかった。締め切りの5日前、ようやく届けが出たと知った時、
「もしかして、この隠れた大器をコッソリ我がものにせん……と企んだどこかの球団が仕組んだ一策なのでは……」
そんな妄想をめぐらせてみるのも、ドラフト直前ならではの“お楽しみ”なのかもしれない。
(【前回を読む】2020年ドラフト最注目候補ベスト3<外野手編>、<内野手編>、<捕手編>へ)