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決して“お家騒動”ではないヤットとツネのプロ意識 「いつまでも頼ってはガンバの未来に…」
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/10/13 11:00
ガンバを6連勝に導いた宮本恒靖監督。遠藤保仁の期限付き移籍という大きなトピックの中で、プロとして結果で示している
宮本監督に直球の質問を投げかけると
6連勝を飾った今でこそ、「脱遠藤」に一定の道筋をつけた感もあるガンバ大阪だが、1勝1分け3敗に終わった8月は、宮本監督の胆力が試された時期でもあった。
この間、遠藤がピッチに立ったのは途中出場の2試合のみ。勝利から遠ざかる日々で宮本監督が「生きる伝説という領域に足を踏み入れつつある」とまで称した背番号7に安易に頼らなかったのには訳があった。
遠藤の移籍会見が行われた翌日のオンライン会見で、「勝てない時期に、遠藤選手を起用しないのは勇気が必要だったのでは」と宮本監督に直球を投げてみた。
コロナ禍による過密日程で練習試合が組めず、遠藤のコンディション調整の難しさを慮った宮本監督ではあったが、同時にキッパリとこう言い切ったのだ。
「いつまでもヤットに頼っていては、このクラブの未来というところにつながらない」
自身もガンバ大阪の顔だった宮本監督は、遠藤をリスペクトしながらもプロ監督として自らの信念を貫いた。そして、J1リーグの出場記録を641試合に伸ばしていた遠藤もまた、単なる記録に執着することなく、プロ選手として新たなチャレンジを選択した。
「ハードワークやフィジカル重視の世の中になっていますけど、変化を加えられる選手というのはやっぱり、見ていて楽しいと思いますし、そういう選手に向こうでもなれればと思います」(遠藤)
連勝街道を走り始めたガンバ大阪に負けじと、サックスブルーの50番も新天地で自らの存在理由を見せつけるつもりだ。