JリーグPRESSBACK NUMBER
エゴイスト回帰&主将卒業の小林悠、悪くないだろう 「自分が決めて」フロンターレに勝利を
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byGetty Images
posted2020/10/12 20:00
33歳となってもいまだ若々しい小林悠。フロンターレのストライカーとしてこれまで以上にゴールを意識している
「完全に自分に集中してますね(笑)」
そして今シーズン。
3年間巻いてきたキャプテンマークを谷口彰悟に譲った。それによって、去年まで自分が背負っていた精神的な荷物も軽くなったに違いない。きっとストライカーとして自分に集中している意識と、チーム全体に目を配る意識も少なからず変わったはずである。
では、現在はどんな配分なのか。シーズン折り返しに差し掛かったタイミングで尋ねてみたかったのである。
こちらのそんな質問に対して小林は即答だった。
「完全に自分に集中してますね(笑)」
やや冗談めかした口調ではあったが、半分は本音なのだろう。「チームのことは彰悟とか後ろの選手がやってくれますから」と続け、今はストライカーとしてゴールに専念していると話したのだ。実際、チームメートに対してもこのスタンスで接していると明かしている。
「今日もダウン(リカバリー)しながら、『オレはFWだから、パス来なかったら怒るし、要求もするけど、別にそれは気にしなくていい』という話をしてました。でも『FWである以上は、オレはやめないよ』と。試合中はそうやって言うけど、それは自分が決めたいからやってるだけで、試合が終わって話すときは、若い選手たちにオレのことは気にしなくていいよと言ってるので」
ストライカーとして再び解き放たれている
フットボーラーというのは、年齢を重ねるにつれて「自分が活躍できればいい」というエゴイストな部分は徐々に削ぎ落とされていくものだ。ベテランと呼ばれる域になると、チームが組織として機能するために必要なことに目が届くようになり、経験を生かした立ち回りや振る舞いを意識するようになっていく。
だが先月23日に33歳の誕生日を迎えた小林悠は、その逆を行くタイプだ。もちろん、チームが勝利するためにやるべきベクトルはぶれていない。ただ3年間巻いてきたキャプテンマークを外したことで、ストライカーとしては再び解き放たれているようにも見える。