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エゴイスト回帰&主将卒業の小林悠、悪くないだろう 「自分が決めて」フロンターレに勝利を
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byGetty Images
posted2020/10/12 20:00
33歳となってもいまだ若々しい小林悠。フロンターレのストライカーとしてこれまで以上にゴールを意識している
自分に集中するかチーム全体に目を配るか
その試合のオフ明けに行われたオンライン取材でのこと。かねてから疑問に思っていたことを、小林に尋ねてみることにした。
それは、ストライカーとして自分に集中している意識と、ベテランとしてチーム全体に目を配る意識のバランスについてである。
振り返ってみると、鬼木体制が始まった2017年から、小林悠は3シーズンに渡ってキャプテンマークを巻き続けてきた。その間、チームは3年連続でタイトルを獲得。彼自身2017年にはJ1得点王に輝き、Jリーグ年間最優秀選手も受賞している。
一方で「自分のゴールでチームを勝たせる」としながらも、チームとしての機能性を考えながら試合に臨み、そのジレンマに思い悩む時期も少なからずあった。
例えば去年のシーズン序盤。
ACLと並行する過密日程でチームのパフォーマンスが上がらず、かつ自身も無得点と苦しんでいた。それでもキャプテンという立場上、ストライカーとしてのエゴを出すよりも、チームのバランスを考えていたと後日、明かしてくれたことがある。
「ゴールばっかりを考えてはいけない。チームとしてどうすれば良いのか。そこを考え過ぎていた部分はありました。もともとそういう器用な選手じゃないんですけどね(笑)。やっていくうちにチームが良くなっていくのかなと思っていましたし、我慢しながらやっていくしかないと思っていました」
サッカー選手として幸せを感じるのはゴール
この時の小林が吹っ切れたのは、やはり自身のゴールだった。去年のACL第4節・蔚山現代戦の公式戦初ゴールで浮上のきっかけを取り戻す。ゴールがもたらすパワーについて、当時こう証言している。
「キャプテンになって年齢を重ねていって、チームのことを考えなければならない中で、まだ1人のサッカー選手として幸せを感じるのはゴールなんだなと感じました。チームの勝利や若手が育つのも嬉しいけど、何よりも自分のゴールが自分を奮い立たせてくれる。サッカーが好きなんだなというところに戻れますね」