プレミアリーグの時間BACK NUMBER
リバプールとチェルシーに特大効果確実 「2人のチアゴ」がやってきた
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2020/10/04 17:00
チアゴ・アルカンタラ(左)とチアゴ・シウバ。実績十分の2人がプレミアをさらに熱くさせる
サラーらにとっても大きなプラス
もちろん、インサイドハーフでも機能するレギュラー級が加わったことで、MF陣がそもそも旺盛な競争意欲を一層掻き立てられていることは想像に難くない。
サラーらFW陣は、量と質の両面でパス供給のさらなるレベルアップを予期して攻撃の意欲と自信を増しているに違いない。
デビュー戦では、終盤に敵にPKを与えるファウルも犯した。とはいえすでに退場者を出していたチェルシーに2点差をつけ、ジョルジーニョのPKをアリソンが止めたこともあって何も問題はなしだ。
国内各紙で、昨季4位に力の差を見せつけたと報じられた今季のリバプールは、昨季以上に強くなれるかどうかが注目されていたのだが、開幕早々、T・アルカンタラは、仮にPKで1点を失っていたとしても「さらなる進歩は可能なのか?」との問いに対する答えは「イエス!」だと思わせた。
チアゴ・シウバは失点に絡んでしまったが
一方のT・シウバは、9月26日のウェストブロムウィッチ戦(3-3)で、「ノー!」と目を覆いたくなるミスから失点を招くプレミア・デビューとなった。自宅でテレビ観戦していた当チェルシーファンの携帯には、トッテナムファンの友人から「“元ワールドクラス”の獲得おめでとう」とのメールが入ってきた。
とはいえ、フランク・ランパードは「チアゴの加入は素晴らしい成果をもたらしてくれることになる」という試合後コメントを残している。
ユース出身の若手を使って育てるポリシーを持ちながら、その4日前に36歳になったブラジル人CBを起用――そんな監督の強がりなのかというと、そうは思えない。
追う展開となった後半、4バックから3バックへの変更でFWのオリビエ・ジルーと交代するまでのパフォーマンスは、全体的に上々の73分間だった。
コントロールを誤り、カラム・ロビンソンにGKとの1対1に持ち込まれた2失点目のシーンは突発的な事故のようなものだ。移籍後の会見でT・シウバは、ロングボールが主流だったかつてのプレミアには「惹かれなかった」と語っいるように、足元の技術を自負するCBである。
実はプレミア初戦の3日前、バーンズリー(2部)に大勝(6-0)したリーグカップ戦でも、パスカットされてピンチを招きかけた場面があったのだが、いずれもミスの原因を挙げるとすれば、加齢による衰えではなく、衰えることのない足元への自信と言える。
当人が、昨季までパリ・サンジェルマンの主軸として8年間を過ごしたフランスのリーグ・アンよりも、ミスが失点に直結する危険が高いプレミアで心を引き締めるための教訓と理解できる。