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安部裕葵と同じ「目を奪われる選手」 鹿島スカウトが明かす昌平高校“2枚獲り”の真相
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2020/10/03 11:02
鹿島アントラーズ加入が発表された昌平高校の須藤直輝(右)と小川優介。ともに2年生ながら昨年度の選手権8強に貢献した
「目を奪われる」のは安部裕葵の時も
正式にリリースされた鹿島の2枚獲り。そこには「いい選手は獲れるだけ獲る」という安易な考えは一切なく、クラブの緻密な強化ヴィジョンと、長い年月をかけて培ってきた先見の明が裏付けとされている。鹿島スカウトとして26年のキャリアを持つ椎本は言う。
「2人とも技術があって判断が的確にできる。須藤はすでに一定の評価を得ていていましたが、小川に関しては他のスカウトも評価はしていた中、体のサイズから獲得まで踏み出せない背景も知っていました。我々も当初は踏み出せなかったですが、彼にはそれを補ってあまりあるものがある。安部裕葵(現バルセロナB)の時も、周りの評価はそこまで高くなかったけど、やっぱりボールを受けたときの大胆さと繊細さは魅力的だった。小川や須藤にも安部のような『目を奪われる選手』の要素を感じています」
鹿島の伝統はこうして引き継がれていく。このニュースはまさに鹿島の強さ、幹の太さを感じさせてくれるものであった。