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初代表・鎌田大地は“くそガキ”だった。
才能に惚れたスカウトが明かす秘話。
posted2019/03/22 12:00
text by
占部哲也(東京中日スポーツ)Tetsuya Urabe
photograph by
JFA/AFLO
ちょっとだけ想像してほしい――。10代の頃。自分のために本気で頭を下げてくれる大人と出会えた人がどれだけいるだろうか。
日本代表に初選出された鎌田大地(シント・トロイデン)にはいた。幸運を力強くつかんだ。
「もっとできる。もう1度見てほしい。高校生が1回の練習で自分の力を見せるのは難しいもの。お願いします」
約5年前の夏。当時、サガン鳥栖のスカウト担当だった牛島真諭(現・湘南ベルマーレスカウト)は、獲得を渋るクラブ幹部に直談判した。そして、頭も下げた。東山高(京都)の鎌田が、初めて鳥栖の練習に参加した後の思い出話だ。
初練習で怒られるほど人見知り。
「人見知り」
口下手で打ち解けるまで時間がかかる――。鎌田はU-22日本代表に初選出された時に静かに語った。プロとの初対面で、その性格が災いした。緊張の初練習。あいさつの声も小さかったという。ある主力選手に一喝された。
「そんな態度なら帰れ」
初体験は散々な結果に終わった。
全国的には無名の存在。だが、牛島はその才能にほれ込んだ。
「自信と確信があった」
プロ経験はないが、佐賀北高時代には1学年上の“平成の怪物”平山相太を擁する国見高と何度も試合を重ねた。同学年には日本代表を長年支えた本田圭佑、昨季JリーグMVPの家長昭博らがいた。本物を肌で感じ、目撃してきた。それでもだ。牛島は5年前と同じであろう熱量を込めて魅力を語った。
「すべてのプレーが予想を覆す」