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内田篤人が引退を告げ、盟友・遠藤康が引き留めた最後の“さしメシ”「せっかくならデザート頼もうよ」
posted2020/09/16 11:50
text by
池田博一Hirokazu Ikeda
photograph by
AFLO
8月13日、ルヴァンカップ清水戦翌日のオフのことだった。遠藤康は、鹿嶋市内の選手馴染みのレストランで知人と会っていた。ふと携帯電話の画面を見ると、同じ名前の不在着信の表示が並んでいた。
内田篤人――。
「めずらしいな」。知り合いと別れた直後、店の前から電話を返した。すると、ちょうどこちらへ向かってくる内田の姿が見えた。
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偶然にしては、図ったようなタイミング。何の話かなあと思いながら、夕飯前だったため、「メシでも食おうか」と、再度お店に入った。
注文を終えると、ふと内田が口を開いた。
「俺、引退するわ」
遠藤にとって、思ってもいない言葉だった。
俺はずっと“うっちー”って呼んでいる
遠藤にとって、内田との付き合いの始まりは学生時代にまでさかのぼる。今から16年前。宮城県出身の遠藤と静岡県出身の内田をつないだのは、U-16日本代表の活動だった。
「高校1年くらいに代表で一緒になった。そこからかな。細くて速い人だなあっていうのが最初の印象。代表で会ったときは、もう1人仲良い選手も含めて、いつも一緒にいた。俺はずっと“うっちー”って呼んでいるから、アントラーズのみんなが篤人って呼んでいるのが変な感じだった(笑)」
年代別日本代表で同じときを過ごし、2006年に内田が、'07年に遠藤がアントラーズに加入した。学年は1つ違うが、誕生日はわずか11日の違いで、気の置けない関係。内田が「ヤスはどこにいても声がでかいからすぐわかる」と言えば、それを聞いた遠藤はさらに大きな笑い声をあげる。