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安部裕葵と同じ「目を奪われる選手」 鹿島スカウトが明かす昌平高校“2枚獲り”の真相
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2020/10/03 11:02
鹿島アントラーズ加入が発表された昌平高校の須藤直輝(右)と小川優介。ともに2年生ながら昨年度の選手権8強に貢献した
須藤が鹿島を選んだ理由
二者択一の中で須藤は鹿島を選んだ。その理由を続ける。
「今季アントラーズに入った4名は、すでに全員がリーグ戦に出場し、活躍している。若手があそこまで活躍できるということは、いいチームの証なんだなと感じていました。鹿島のサッカーはポゼッションの質も高く、スペースへ入っていくところは僕も持ち味を出せるんじゃないかなと思いました」
悩みに悩んだ末に決めた名門クラブへの入団。才能溢れる司令塔の覚悟は、今後の活躍を予感させるものだった。
小川に惚れ込んでいた椎本チーフスカウト
一方、前述した驚きの大半を占めたのが、小川の獲得だろう。
166cmの小柄なボランチ。昌平高の下部組織にあたるFC LAVIDAジュニアユース出身で、両足での正確なボールコントロールを駆使したドリブルを武器に、高2からボランチとして昌平サッカーの中核を担ってきた。昨秋から「ドリブルばかりに頼って、困ったら周囲に預けていたのでは上で通用しないと思った」と、長短のパスを駆使してゲームメイクを意識し出したことで、メキメキと頭角を現してきた印象だ。
その変化にいち早く目をつけていたのが、鹿島の椎本邦一チーフスカウトだった。筆者が昌平の試合を訪れると、必ずと言っていいほど椎本の姿があった。
昨年12月のプリンスリーグ関東参入戦。この試合で椎本が目当てにしていた須藤は未出場に終わったが、エース不在の中でも一際高い技術を見せ、ゲームをコントロールしていたのが14番の小川だった。
「小川の存在は知っていたけど、中盤の底からボールを運べるし、パスも出せて、ゲームにアクセントを加えるプレーに衝撃を受けた。でもその時は『身体も小さいし、大学に行った方がいいのかな』と思っていました」
それ以降、試合会場で話を聞くたびに「どうしても小川に目がいってしまうんだよね」と話すほど、椎本は小川の魅力に引き込まれていた様子だった。