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澤村拓一とトレードの香月一也って? 亡き父譲りの明るさ、理想の打者像はあの大阪桐蔭の大先輩。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byRyotaro Nagata
posted2020/09/08 16:15
巨人へのトレードが決まった香月一也。プロ6年目の24歳、右投げ左打ち。パンチ力ある打撃が魅力だ。
昨季プロ本塁打も、厚い一軍の壁。
それでも一軍の壁は厚い。そして高い。
プロ2年目の2016年9月26日には9番サードで公式戦初出場。その日にプロ初安打も記録するなど父の墓前に花を添えたが、プロ3年目の'17年は一軍で19試合に出場するも41打数8安打で打率1割9分5厘。一軍のレベルの高さを肌で感じた。
4年目の'18年には、二軍でチームトップタイの12本塁打を放つ一方で、一軍には一度も呼ばれることなくシーズンが終了。苦渋を味わった。
5年目を迎えた昨季は、小島和哉や中村稔弥といった同級生が大学からプロの門を叩き、それを歓迎する一方で、自身がプロの4年間で積み重ねてきたことを示そうと春季キャンプから猛アピール。5月下旬には一軍に昇格し、7月3日のオリックス戦では待望のプロ初本塁打を放つなど意地を見せた。
だが、隙を見せればそこを突いて来るのが一軍の世界。次第に配球が厳しくなるとそこから13打席連続無安打。限られた少ないチャンスをモノにしなければいけない厳しさをまざまざと感じていた。
トレードは千載一遇のチャンスだ。
プロ6年目の今季も前半の60試合を超えた時点で一軍昇格は一度もなし。チームが首位戦線にとどまり好調をキープしている中では、そう簡単に一、二軍の入れ替えが行われるとは思えない。
さらに今季は安田尚憲をチームの主砲として一本立ちさせようと一軍の4番に据え、法政大学からは福田光輝という同じ左の内野手を獲得した。このままロッテにいても、チャンスがそう多いとは思えない。
そんな中、決まった巨人・澤村拓一との交換トレード。ならばこのトレードをきっかけに心機一転。プロの世界で大きく羽ばたいてほしいと思う。
これは彼の野球人生を変える千載一遇のチャンスになるかもしれない。