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澤村拓一とトレードの香月一也って? 亡き父譲りの明るさ、理想の打者像はあの大阪桐蔭の大先輩。
posted2020/09/08 16:15
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Ryotaro Nagata
試合が終るといつも決まって、彼はそこに立っていた。
二軍の本拠地、ロッテ浦和球場の室内練習場。右奥のマシン打撃の場所。試合で打てた日も、打てなかったときも、まるでそれが彼のルーティンでもあるかのように、いつもそこへやって来ては、ひたすらバットを振っていた。
マリーンズ寮にいる若手選手の中でも指折りの練習量。球場から寮に帰宅するのはいつも決まって夕方6時を過ぎてから。
そんな男だからこそ、周囲の先輩達が放ってはおかない。今でも筆者の記憶に残っているのは、現二軍ヘッド兼打撃コーチの福浦和也が自身の引退試合を終えた翌日に、彼を呼び寄せマンツーマンで指導をしていた姿だ。それだけ周囲の気持ちを動かす熱い心を持っている。
それがこの度、巨人への交換トレードが決まった香月一也という男の強みだ。
見た目はゴツいが、愛くるしい。
2015年に大阪桐蔭高校からドラフト5位でロッテに入団。高校の先輩でもある西武の森友哉を、公私ともに慕い、オフの日に食事をごちそうしてもらった話や、一緒に流行りの映画を見に行った話など、いつも嬉しそうに話してくれた気の良い男だった。
見た目はゴツイがイメージとは少し違った愛くるしい性格もあって先輩にも関係者にも、何よりマリーンズファンに愛されていたのは間違いない。彼の周りには笑顔が絶えない。そんな風景をいつも目にした気がする。