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クセが凄い! 左サイドスロー列伝。高梨雄平が巨人で活躍、その理由は?

posted2020/09/08 11:40

 
クセが凄い! 左サイドスロー列伝。高梨雄平が巨人で活躍、その理由は?<Number Web> photograph by Kyodo Kews

今季トレードで大活躍中の高梨雄平。写真で見ても、投球フォームのクセが凄い!

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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 筆者は球場で楽天時代の高梨雄平を何度か見たことがある。そのときは単に「左のサイドだな」と思ったくらいだが、テレビで投手の真後ろからの映像を見て、すごい投球フォームだと再認識した。

 高梨は右足を上げると同時に、左腕を体の側面で隠して打者から見えなくする。左腕を膝に当ててから胸のあたりにクッと引き上げて、さらにグラブも持ち上げて、球の出所を見えなくしているのだ。救援投手にはこういう投げ方をする選手がいるが、高梨は特に念がいっている。まるで精巧な時計の裏側を覗き見たような心持ちがする。

 このフォームで高梨は切れのある球をズバッと投げ込むのだ。左打者にはフロントドアになるスライダーや、バックドアになるツーシームはやっかいなボールだ。

「左のサイドスロー」は、野球史では常に少数派だ。

 そもそも野球界では左腕投手自体が少数派である。今季NPBの投手は育成を含めて473人いるが、左投手は137人。29%に過ぎない。そして左右の投手を問わず、サイドスロー、アンダースローの投手も少数派だ。どこまでをサイドと解釈するかによって違ってくるが、10%くらいだろうか。「左のサイドスロー」は、いつの時代も数が少ないのだ。

王貞治キラーだった安田猛。

 しかし数少ないがゆえに、強烈な印象を残した投手が多い。

 安田猛と言えば、漫画「がんばれ!! タブチくん!!」では、タブチくんの相方としておなじみだ。

 実際、2人はほとんど面識がないらしいが、リアルな安田は左腕のサイドスローだった。制球力が抜群で、81イニング連続無四死球のNPB記録を持っている。ペンギンと言われた体形で人を食った超スローボールも売り物だった。

 また王貞治の天敵として知られた。通算対戦成績は126打数32安打、打率.254と抑え込んでいる(ただし本塁打は10本提供している)。1973年9月14日の後楽園での巨人-ヤクルト戦では3番・長嶋茂雄を敬遠して、この年三冠王になった4番王貞治を三振に取っているほどである。

【次ページ】 美しいサイドスローだった永射。

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