球体とリズムBACK NUMBER
J1川崎、ルーキー三笘薫も輝くが、リバプール並みの独走を支えるのは“あの男”。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2020/09/08 20:00
独走を続けるフロンターレで輝きを見せるルーキー、三笘薫。シュートを放つ美しい後ろ姿にますます期待がかかる。
新戦力の活躍を支えるあの男。
グループも見事に調和が取れているようだ。三笘、旗手、山根視来といった新戦力がスムーズに溶け込めているのは、チームに流れているポジティブな空気のおかげでもあるだろう。三笘が「自分の良さを引き出してくれるチームメイトに、本当に感謝しています」と話しているように。
そんな雰囲気を生み出しているひとりは、フロンターレ一筋18年目の旗頭、中村憲剛に違いない。この日は川崎のアウトフィールドの選手で唯一、出番がなかったものの、来月に40歳となる背番号14はベンチ裏で最後まで溌剌とアップを続けていた。彼のそんな姿が後進を育て、田中碧や脇坂泰斗、三笘、宮代大聖ら、育成組織出身の逸材が続々と台頭する。4年目の重鎮、家長が周囲に与える影響も大きそうだ。
川崎と昨季のリバプール。
フットボールは、世界と直接繋がっている。だから僕は常々、国内のサッカーを論じる際にも、国外のトップレベルを意識するようにしている。きっとそうすることが、いつか日本代表が達成してくれるはずのW杯8強や、その先に繋がる近道だと信じて。
果たして、今季の川崎は昨季のリバプールのような独走を、このまま続けるだろうか。降格のない特異なこのシーズンに、優勝争いが早々に決まってしまっては、興趣に欠けるかもしれない。ただ少なくとも、フロンターレがプレーするピッチ上には楽しみがたくさんある。それは世界の潮流と照らし合わせてみても、決して遅れをとっているものではない。