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三笘薫、川崎仕様のドリブラーへ。
「0から100できるのが僕の特徴」
posted2020/07/22 08:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
J.LEAGUE
川崎フロンターレの大卒ルーキー三笘薫の「進化」を感じた試合だった。
J1第5節、アウェイで迎えた横浜FC戦。1-1の同点に追いつかれた直後の60分にピッチに入った三笘は、同時投入されたFW小林悠とともに際立った存在感を放った。
「これでやることはっきりしたね」
ピッチサイドで交代を待っていた三笘は隣の小林からこんな言葉を投げかけられたという。このひと言で三笘は、自分のタスクが「点を取る」ことだと明確に理解した。
投入直後の61分、流れを一瞬にして引き戻すスーパープレーが飛び出した。
自陣でパスを受けた三笘は、右足インサイドのボールを前に置くことでプレスに来た相手を食いつかせた。待ってましたと言わんばかりにかわすと、今度は目の前にいた2人のDFが一瞬見せた隙を見逃さず、間をドリブルでぶち抜いた。さらに、追いすがる横浜FCのDF陣を寄せ付けず、上半身でフェイントをかけて揺さぶり、一気にペナルティーエリア内まで侵入。シュートこそ、相手DFの捨身のブロックの前に阻まれたが、この1プレーは猛追する横浜FCの息の根を止めた。
裏のスペースへ抜け出し、カットイン。
さらに73分には決定機を作り出す。
左サイドバック登里享平がボールを持つと、三笘は左タッチライン沿いでサイドステップしながらボールを受ける動きを見せる。マークについていた相手DFを釣り出した瞬間、裏のスペースへと加速。そこに登里から針の穴を通すようなスルーパスが届くと、一気にギアを入れ替え内側へカットインした。キックフェイントで相手DFを食いつかせながら、さらに中央へ侵入。横浜FCのDF星キョーワァンがたまらずファールを犯し、PKを獲得した。
これを怪我から復帰した小林が決めて勝ち越し。その後、一挙3ゴールを重ねて5-1の快勝。三笘が流れを変えた勝利で、川崎はがっちりと首位をキープした。