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クセが凄い! 左サイドスロー列伝。高梨雄平が巨人で活躍、その理由は?
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo Kews
posted2020/09/08 11:40
今季トレードで大活躍中の高梨雄平。写真で見ても、投球フォームのクセが凄い!
左殺しの嘉弥真とセットアッパー宮西。
現役では、まずはソフトバンクの嘉弥真新也。この投手は純然たる「ワンポイント」だ。今季は26試合に登板しているが、投球回数はわずか16.1回。打者1人にしか対戦していない登板が9度もある。日本ハムの西川遥輝に5打数無安打、オリックスのT-岡田を5打数無安打、吉田正尚を2打数無安打など左の強打者を封じ込めている。
日本ハムの宮西尚生は、別格だろう。史上最多の354ホールド、最高のセットアッパーとして君臨している。
「左のサイドスロー」は「左の強打者」との関係で語られることが多いが、宮西の場合、左右打者の別なく終盤の重要な場面で投入され、ほぼ確実にホールドを記録している。今季で見ても被打率は右が.176、左が.146。ぐっと沈み込んで、低い位置から球種の見分けがつきにくい速球とスライダー、さらにはカーブを投げ込む。
西武・小川、ロッテ松永とみんなパ。
ここまで書いてきて、気が付いたのだが、現役の「左のサイドスロー」は、嘉弥真、宮西に加え西武の小川龍也、ロッテの松永昂大とすべてパ・リーグの投手だ。小川は元中日だが2018年に西武に移籍した。
少し前まで代表的なセの「左のサイドスロー」と言えば、ヤクルトの久古健太郎だったが、彼が2018年に引退してからはほとんどいなくなったのだ。
今季、セの一軍で投げた左腕は43人いるので、全員のフォームを調べた。巨人の大江竜聖と中日の濱田達郎が今季からサイドスローに転向している。また巨人の中川皓太もサイド気味だが、高梨雄平のような球の出所がわかりにくい「左のサイド」はほぼ見当たらなかった。