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クセが凄い! 左サイドスロー列伝。高梨雄平が巨人で活躍、その理由は? 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byKyodo Kews

posted2020/09/08 11:40

クセが凄い! 左サイドスロー列伝。高梨雄平が巨人で活躍、その理由は?<Number Web> photograph by Kyodo Kews

今季トレードで大活躍中の高梨雄平。写真で見ても、投球フォームのクセが凄い!

美しいサイドスローだった永射。

 変則フォームの投手が多い中で、流れるような美しいサイドスローで投げたのが永射保である。ストライクゾーンを大きく使った投手だった印象で広島、太平洋・クラウン・西武、横浜大洋、ダイエーで投げた。

 トニー・ソレイタ、レロン・リー、門田博光と左の強打者には無類の強さを見せた。気が強い投手で、自信をもって投げ込んだ球がボールになると、あからさまな不満顔でマウンドの土を蹴り上げたりした。

 利かん気は若い頃からだったようで、鹿児島県の中学時代、ライバルだった定岡智秋(のち南海)に「一緒に鹿児島実業に行こう」と誘われたが「強いところに行くのではなく、強いところをやっつけたい」と指宿商業に進んだという。

阪神の遠山、ホークス森福も鮮烈。

 変則的な起用で話題になったのが阪神の遠山奬志。もとはオーバースローだったが、野村克也監督の野村再生工場でサイドスローに転向してから頭角を現した。

 特に松井秀喜、高橋由伸と巨人の左の主軸にめっぽう強かった。野村監督は、2000年には、左・右・左のジグザグ打線と対するときはまず左打者に遠山をぶつけ、右打者が出ると右の葛西稔をマウンドに上げて遠山には一塁を守らせ、左打者になるとまた遠山をマウンドに上げる奇手を用いた。この年、遠山は一塁手として7つの打球を処理している。

 近年では森福允彦が記憶に新しい。入団当初は打者、球種によってスリークオーターとサイドスローを投げ分けていたが、サイドスローに徹してから一線級のセットアッパーになった。この投手も強気で、内角を思い切って攻めた。

 西武の栗山巧、秋山翔吾、日本ハム、オリックスの糸井嘉男、大谷翔平などの左打者に強かったが、調子が良い時の森福は、右打者にも十分に通用した。彼も体の側面でボールを隠して出どころをわかりにくくした。ホームベースに斜めに切れ込んでくるスライダーが痛快だった。

【次ページ】 左殺しの嘉弥真とセットアッパー宮西。

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