猛牛のささやきBACK NUMBER
オリックス吉田凌プロ初勝利にシュート習得と親友の存在。「小笠原だけは気になります」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2020/09/04 07:00
昨季は一軍のマウンドを4試合経験している吉田。8月15日のソフトバンク戦でプロ5年目で初勝利を手にした。
「まっすぐよりも感覚がいい」
昨年のシーズン後に行われたフェニックス・リーグではあまり手応えは得られなかったが、今シーズン、ファームの実戦で投げ続けるうちに精度が上がった。
今では、「まっすぐよりも感覚がいい」と言う。右打者のインコースに突き刺さるシュートは、スピードもキレも抜群だ。ストレートの球速は145kmほどだが、シュートはそれを上回る。今はストレートはほとんど投げず、キレのあるシュートと、変幻自在のスライダーが投球の柱となっている。
初勝利を挙げた8月15日も、左打者のアウトコースギリギリに決まるシュートと、スライダーを軸に、たまにフォークを織り交ぜ、ソフトバンクの上位打線を抑えた。
その日、小笠原からLINEで「おめでとう」とメッセージが送られてきた。照れ屋な吉田は「ありがとうございます」と返した。
これからも「キャッチャーのサインに、自信を持って、腹をくくって投げるしかない」とシンプルな思考でマウンドに上がる。
「シーズンはあと半分。最後まで走りぬきたいですね」
ブレない心と新たな武器を手に入れた吉田凌のプロ野球人生が動き始めた。