プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人・岡本和真がゴールデングラブ最有力候補!? 名手・井端弘和が教え子の守備力向上を解説。
posted2020/09/04 15:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Hideki Sugiyama
久しぶりの感触だった。
「打ったのはストレート。追い込まれていた中で、いい結果を出せて良かったです」
9月3日、東京ドームでのDeNA戦。
5点リードの2回1死一塁から巨人の主砲・岡本和真内野手が19号2ランを放った。
実に13試合ぶりの一発だ。
この間は持ち前の勝負強さでチャンスで安打は出ていた。どん底ではなかったが、それでも会心の一撃がなかなか放てない。
じりじりと不完全燃焼の日々が続いていたのも確かだった。
松井秀喜さんも指摘していた悪いときの癖。
「背番号が見え過ぎますね」
テレビ画面に映る岡本のテークバックを見て、こう指摘していたのは8月26日のヤクルト戦でテレビ中継の解説をしていた評論家の谷繁元信さんだった。
これは元ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜さんも指摘していた、岡本の悪いときの癖でもある。強く振る意識が出過ぎてバットのグリップを内側に引き過ぎる。内側に引き過ぎるから、打ちに行くと逆に身体が開いてしまう。自ずと強い打球は左方向が多くなり、逆方向への長打は減っていく。
逆説的に言えばグリップを真っ直ぐ引けて背番号の見え方が少なくなれば、自然と逆方向への長打も増えていくはずだということだ。
そうなれば再びホームランも量産態勢に入っていくはずなのである。
そこが岡本の調子のバロメーターとなるということだ。
カウント2ボール2ストライクからDeNAの先発、スペンサー・パットン投手の150kmを弾き返したこの日の打球は、まさにその逆方向、右翼席に飛び込む一発だった。