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オリックス吉田凌プロ初勝利にシュート習得と親友の存在。「小笠原だけは気になります」
posted2020/09/04 07:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Kyodo News
「毎試合緊張します。1試合目も、17試合目も、全然変わらない」
そう苦笑するのは、プロ5年目の右腕・吉田凌だ。
昨年まで一軍登板はわずか5試合だったが、今年はすでにリリーフとして17試合に登板(9月1日時点)。防御率1.84という安定した投球で一軍に定着しているが、今季17度目のマウンドでも、まだ変わらず緊張したと言う。
それは、どんな場面であっても同じ気持ちでマウンドに向かっている証でもある。
今季の初登板は、7月15日のソフトバンク戦、0-7と大量リードされた9回表だった。2度目の登板は日本ハムに1-5とリードされている8回裏。そこできっちりと無失点に抑えたことで、僅差の試合や勝ち試合の登板も任されるようになり、ベンチからの信頼度は目に見えて変わった。
しかし吉田自身は、いい意味で変わらない。
「僕は試合展開とか考えずに、勝っていようが負けていようが、変わらずに投げることが一番かなと思っています。投手コーチの方にも、『与えられたところで、凌らしいピッチングをしてくれたらいい』という言葉をいただいたので、僕は『ここから凌だ』って言われた時に、しっかりやるだけです。『凌だったら大丈夫だ』と思ってもらえるようなピッチャーになっていきたいなと思います」
そうして1試合1試合、まっさらな気持ちでマウンドに上がり続けた先に、プロ初勝利が待っていた。
「よっしゃー!ラッキー」って。
今年11試合目の登板となった8月15日のソフトバンク戦。ブルペンデーとなったこの日、3番手で5回裏に登板し、1番から始まるソフトバンク打線を0に抑えた吉田に、初勝利が転がり込んだ。
「ルール的に(誰に勝ちがつくのか)よくわからなかったんですけど、試合後の球場アナウンスで『勝ち投手・吉田凌』というのが聞こえたので、よっしゃー!ラッキー!って。そんな感じでした(笑)」
5年目でようやくつかんだ初勝利。
「長かったですね。やっぱり、小笠原がああやってすぐ勝っていたので……。多少、思うところもありましたから」