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「突然ポロポロ涙が出てきて…」阪神のリリーフエース・石井大智がいま明かす日本シリーズ痛恨の被弾“涙腺崩壊のワケ”…じつは「綱渡りの日々」だった
posted2026/01/20 17:00
2025年のレギュラーシーズンでは防御率0.17の圧倒的成績を残した阪神の石井大智だが、日本シリーズで痛恨の被弾。本人がいま明かす“涙の真相”とは…(第1回)
text by

佐井陽介Yosuke Sai
photograph by
SANKEI SHIMBUN
本人も戸惑うほどの“涙腺崩壊”
意外な反応だった。
もうそろそろ、あの涙のワケを尋ねてもいいだろうか?
寒風吹きすさぶ某日。恐る恐るお願いしてみると、石井大智は「おぉ~いいところを突いてきましたね」とこちらが拍子抜けするほど快諾してくれた
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「今更ですか?」と嫌がられる可能性も想定していたのだが、どうやら忘れたい記憶ではなかったらしい。
「あの涙は……。多分、皆さんが考えるイメージとはちょっと違うと思いますよ」
右腕は思わせぶりにほほ笑んだ。
阪神屈指……いや、球団の枠でくくるのはもう失礼だろう。12月26日に早くも2026年WBCの侍ジャパンメンバー入りを決めたセットアッパーは年の瀬、涙の真相を初めて明かし始めた。
2025年10月30日の甲子園。結果的に日本シリーズ最終戦となった第5戦の8回表、石井はソフトバンク柳田悠岐に痛恨の同点2ランを浴びた。3―1だったスコアは途端に優劣がなくなり、チームは延長11回に力尽きた。
初戦勝利からの4連敗で終戦。一塁側ベンチを出て、聖地を埋め尽くした観客のもとへ頭を下げに向かう。その道中、右腕の両目は真っ赤に染まっていた。
ぬぐってもぬぐっても、涙があふれ出てくる。実は当の本人も戸惑うほどの涙腺崩壊だったらしい。
「突然ポロポロと涙が出てきて、自分でも『これ一体、なんなんやろ』って」
11回表、2020年ドラフト同期の村上頌樹が勝ち越しソロを浴びた直後は、まだ冷静さを失ってはいなかった。
「もちろん、打たれて同点にしてしまった事実は受け止めるしかないし、ベンチで声を出して応援していました。隣にはオヨ(及川雅貴)が座っていて、まだ次の試合があると信じて反省点を話していたぐらいです。『勝ったら次は福岡。今度はいろんな対策を練らないと』みたいな。そんな感じだったのに、試合に負けて、この1年の全日程が終わったのだと実感した瞬間、急に涙が止まらなくなったんです」
146試合ぶりの悪夢「涙の理由は…」
石井は2025年、レギュラーシーズンで50試合連続無失点の日本記録、49イニング連続無失点の球団記録を打ち立てた。
クライマックスシリーズ、日本シリーズでも6試合連続でゼロを並べ、10月30日の2失点は実に57試合ぶりの失点だった。
しかも「被弾」に限れば、ポストシーズンも含めて2023年7月以来、146試合ぶりの悪夢。涙の理由は容易に察することができた……はずだった。


