One story of the fieldBACK NUMBER
パ・リーグ人気の運営裏側に迫る。
「勝敗の外にあるものに価値を」
text by
鈴木忠平Tadahira Suzuki
photograph byPLM
posted2020/07/01 11:50
リーグ開幕前、オンライントークに参加したパ・リーグ各球団の主力選手たち。6球団が一堂に会する貴重な機会となった。
「プロ野球を支える職業」をベスト10に。
今、森には新たな夢があるという。2018年に始めたスポーツビジネスに携わる人材の育成支援事業の成功だ。PLMは、スポーツ業界の社会への提供価値をあげるために、選手だけでなくビジネスサイドの人材の底上げも欠かせないと考えている。
「プロジェクト開始から10年目となる2028年に、小学生の将来なりたい職業ランキング9位に、スポーツビジネスパーソンが入ることが目標です。1位がプロ野球選手で、そのプロ野球を支える職業が10位以内に入っていたとしたら……、最高ですよね」
かつて、人気球団やその勝敗にしか価値を見出されていなかったプロ野球が、今はその幅を広げて、あらゆるものがコンテンツとして価値を発揮する時代になった。
それらを創造してきたのが、巨人戦中継全盛の環境で育ちながら、どこかでグラウンドの外に魅力を見出してきた根岸や森のようなスポーツビジネスパーソン(森の言葉を借りれば)であり、PLMのような組織なのだろう。
根岸は言う。
「在庫ビジネスというのは限界があるんです。観客動員ばかりが注目されますが、スタジアムの席数には限りがあって、いっぱいになってしまったらそれ以上は伸びません。でも我々は、スタジアムの外側にいる人たちにも関心を持っていただけるようなコンテンツを提供していきたい。パ・リーグ6球団の収益を上げて、6球団だけではなく12球団でまとまってビジネスをした方がいいと思ってくれるような、圧倒的な結果を出していきたいです」
いつかセもパもなく、12球団で合同の事業ができる日まで、彼らのマーケティングは続いていく。