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パ・リーグ人気の運営裏側に迫る。
「勝敗の外にあるものに価値を」

posted2020/07/01 11:50

 
パ・リーグ人気の運営裏側に迫る。「勝敗の外にあるものに価値を」<Number Web> photograph by PLM

リーグ開幕前、オンライントークに参加したパ・リーグ各球団の主力選手たち。6球団が一堂に会する貴重な機会となった。

text by

鈴木忠平

鈴木忠平Tadahira Suzuki

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PLM

ここ数年で右肩上がりを続けているプロ野球の観客動員数。日本野球機構(NPB)が2019年10月に発表した公式戦入場者数は2650万と史上最高を記録した。その要因の1つとなっているのが、パ・リーグの動員数の伸長だ。2005年は約825万人だった動員数は、昨年は約1167万と約1.5倍に。その裏側には、同リーグが新しいファンを獲得すべく、マーケティング活動を担う役割として2007年に設立されたパシフィックリーグマーケティング株式会社の存在があった。前編に引き続き、後編ではさまざまな施策の実務を担った女性広報部長を掘り下げる。

 パシフィックリーグマーケティング(PLM)の広報部長である森亜紀子は、小さい頃、自分は将来、ゴジラ松井のお嫁さんになるんだと思い込んでいた。

「私は静岡の生まれなんですが、家ではいつも祖父が巨人戦を見ていました。おそらく中継がそれしかなかったのかもしれません。私は野球のことはほとんどわからなかったんですが、松井秀喜さんのことがずっと好きだったんです」

 少女の妄想には根拠があった。

 ベンチでひと際、華やかなオーラを放っている長嶋茂雄監督の奥様が亜希子さん、4番を打つ清原和博選手が結婚したのが亜希さん……。ならば、いまだ独身のホームラン王、松井さんのお嫁さんだって「アキコ」のはずだ、と……。

 ルールや勝敗の機微は知らずとも、そういう観点で野球に夢中になっていた。

 一方でパ・リーグにはどんな球団があるのかもわからなかった。ガラガラの客席で流しそうめんをやっていた川崎球場がロッテの本拠地だったということも、ライオンズがもともと福岡にルーツを持っていることも知らなかった。

 31歳。夢から覚めた森は今、そのパ・リーグの人気を裏から支える会社に勤めている。

コンテンツの価値を高める仕事。

 3年前、アメリカのコーヒーチェーンを日本で展開している企業から転職した。

「コンテンツを持っている会社で、その価値を高めていく仕事がしたかったんです。もともとバレーボールやプロレスにハマったりと、スポーツに接することが好きだったので、野球という成長しているコンテンツを持っているPLMは魅力的でした」

 森の1日は朝8時30分、電車に揺られ、オフィスに向かうことから始まる。朝はまずメディア向けのリリースを確認したり、リリースを出した後であれば、掲載情報をチェックしたりすることからスタートし、その後、クライアント企業との打ち合わせ、社内ミーティングなど慌ただしく時間が流れていくという。

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