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戸郷翔征がなぜ“裏ローテ”の頭に?
巨人・原監督「メジャー志向」構想。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/06/27 20:30
6月23日、広島との3連戦の初戦に先発し、勝利投手となった巨人・戸郷。独特なテイクバックだ。
今年の巨人の投手編成の要が隠されていた。
その大事な役割をプロ2年目の戸郷に託す決断への「?」なのだが、そこには原辰徳監督が描く、今年の巨人の投手編成の要が隠されていたのである。
今年の巨人の開幕ローテーションはオープニング投手に指名されたエース・菅野智之から復活左腕の田口麗斗と期待の新外国人投手、エンジェル・サンチェス、昨年も先発実績のあるC.C.メルセデスに桜井俊貴の各投手がいて、そこに戸郷という布陣となっている。
その中で開幕の菅野が決まり、2カード目の広島戦の頭には田口かサンチェスというのが順当な順番。そこから残った1人を開幕2戦目に配して、メルセデスと桜井の登板が決まって、最後に残ったところに戸郷がはまるというのが、普通のローテーションの組み方となるはずである。
原監督の「中5日ローテーション構想」。
ところがなぜプロ2年目20歳が、広島3連戦の頭を任されたのか?
戸郷は初先発が昨年のリーグ優勝を決めたDeNA戦というのだから経験はゼロに等しい。
しかも開幕前の練習試合では6月2日の西武戦で4回6安打3失点と踏ん張りきれずに「次の登板で今後が決まってくる」(宮本和知投手総合コーチ)と一度は“最後通牒”を突きつけられた。
それでもそこから9日のDeNA戦を6回2失点、16日のロッテ戦を5回1安打無失点に抑えて、滑り込みでローテ入りしてきた投手なのである。
もちろん潜在能力の高さの上に、最後の2度の登板内容への評価もある。将来のエース候補という期待が決断を後押しするかもしれない。
ただ、それにしても大胆な起用であることは間違いないはずなのだ。
実はその裏にあったのが、原監督の「中5日ローテーション構想」だった。