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阪神、巨人に3連敗。バースの再来の
はずが……ボーアに“渡部の呪い”!?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/06/22 11:45
6月21日の巨人―阪神3回戦、6回2死満塁の好機に二塁ゴロに倒れたボーア。3連戦で12打席無安打に終わった。
内野手を全体的に右に動かしたボーアシフト。
もちろんこのボーア封じの背景には、巨人の徹底した対策があったことが見逃せない。
3月の甲子園球場でのオープン戦で巨人・原辰徳監督は、外野を4人で守らせる極端なボーアシフトを敷いたことがある。
「われわれは敬意を表したということです。左のパワーヒッター。プルの中のパワーヒッターということですから」
そのときに原監督が語っていたように、狙いはいかに気持ちよく引っ張らせないかにあった。
この3連戦でもそこまで極端ではないが、内野手を全体的に右に動かしたボーアシフトを敷いた上で、投手は外角の変化球を軸にした組み立てをしている。
三―遊―一という珍しい併殺。
もともと外角球、特に左投手の外へ逃げていく変化球に弱いというデータはある。
それを踏まえた上に、シフトで右方向への打球がアウトになりやすい条件を作っている。もともと強くスイングしてこそ持ち味の出る打者に、逆方向を意識させることが目的だった。
結果としてそういう巨人の術中にボーアははまることになる。
第1戦では1点差の9回無死一塁で、真ん中やや外寄りのストレートを引っ張り切らずに、逆方向に打ち返した。巨人はこの打球もボーアシフトの網にかけて三遊間寄りに守っていた三塁手の岡本和真内野手から二塁後方にいた遊撃手の坂本勇人内野手を経て一塁に転送される三―遊―一という珍しい併殺でピンチを切り抜けた。
何よりスイングに迷いがあるように、思い切ってバットを振れていないから打球も上がらない。そのことが2、3戦の満塁での見逃し三振と二ゴロにもつながっている。