球道雑記BACK NUMBER
和田康士朗、一歩一歩夢へ進んだ道。
ロッテの俊足が2020年を駆ける!
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2020/06/19 11:30
ロッテで活躍が期待される和田康士朗。足の速さが一番の武器だ。
プロ入り後は動けなくなることも。
しかし、プロ入り後はそれまでの練習量との違いに戸惑い度々、チーム内で置いていかれ気味になることもあった。
今でも印象に残っているのは彼の入団1年目。試合後の個別練習が終わり、ロッテ浦和球場から次々と選手たちがクラブハウスへ消えていく中、和田は三塁側ベンチ横にある用具置き場兼の待機所で、ただ一人、全ての力を出し切ったようにしばらく動けずにいた。
高校、または大学時代に強豪校で猛練習を重ねてプロに来た他の選手達と比べて、和田はまだまだ体力面で課題が残る選手だった。
食事は体作りに欠かせないけれど。
また、当時の和田を悩ませたのは体作りの点。
幼少期から食道が狭いこともあって、咀嚼するのに人の倍近くの時間をかけなければならなかった。
「子供の頃は食事をするだけでも(食道に)痛みが出ることもあって、母に食べ物をいつも小さく切ってもらったりして食べていました。だから子供の頃は外食をした記憶もないんです」
寮内で食事を終えるのはいつも最後の一人だった。
そうした試練を乗り越えたからこそ、食事嫌いになる幼児の気持ちもよく分かるのだと彼は言う。
取材の流れで、たまたま量が食べられない筆者の息子の話になったときも「その気持ち、よく分かります。僕も食べるのが遅い子供だったので。そういうときに『早く食べなさい』とか『もっと食べなさい』とか言われると余計に食べづらくなって、結果として食事時間が嫌いになってしまうと思うんです。だから息子さんにもあまり急かさないようにしてあげてください」と、自らの経験を踏まえ心優しいアドバイスをくれることもあった。