欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
2000年代プレミア回顧。ベンゲル、
モウにファギー、3名将の天下争い。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2020/05/20 11:30
アーセナル、チェルシーともに当時最先端の戦術を用いた好チームだった。それでもマンチェスター・ユナイテッドは王者の風格を見せた。
アブラモビッチとの関係が瞬く間に。
ところが翌シーズン、ジョン・テリーとチェフが負傷のため長期欠場。守備陣の補強を求めたモウリーニョの意向をアブラモビッチが無視。蜜月といわれたふたりの関係は瞬く間に崩れ、チェルシーも2位に沈んだ。
そして2007-08シーズン、ディレクター職にあったマイケル・エメナロが、あることないことアブラモビッチに御注進。第6節終了時に、モウリーニョが監督の座を追われることになった。
以降チェルシーは監督というポストを軽視しつづけている。暫定や再任を含めると12年間で14人。フランク・ランパード現監督も長期間は約束されていない。
その後結局、ユナイテッドが3連覇。
結局、2000年からの10年間もユナイテッドを根底から揺るがすクラブは現れなかった。2000-01シーズンに優勝し、'06-07シーズンから3連覇を達成。'09-10シーズンはチェルシーの後塵を拝したものの、翌シーズンに奪還。3連覇はリオ・ファーディナンドを軸とする守備陣の安定が大きかった。
そしてファーガソンのマネジメント能力も、改めて高く評価された。ベンゲルは内面が弱すぎる。チェルシーはフロントと現場の一体感を欠く。そんななかファーガソンは常に強く、ユナイテッドという組織から全幅の信頼を得ていた。
2000-01シーズンからの10年間でユナイテッドは優勝5回。相変わらず彼らがプレミアリーグの中心だった。ところが、2008年9月に『アブダビ・ユナイテッド・グループ』がマンチェスター・シティを買収。このビジネスによって、プレミアリーグの勢力分布図に大きな変化が生じていくことになる。