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武漢に3カ月半ぶり戻れたR・シルバ。
コロナ封鎖解除の街はどうなった?
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2020/05/07 07:00
4月、武漢に戻った時のラファエル・シルバ。新型コロナウイルスの脅威がひとまず去ったが警戒は緩めていないという。
4月、ようやく本拠地に戻れた。
そこからまず深センに入り、2週間の検疫期間を全うした。しかし、4月に入っても武漢は封鎖されたまま。やむなく広東省仏山へ移って第3次合宿を行なった。ようやく4月8日、武漢の封鎖が77日ぶりに解除され、本拠地へ戻ることが可能になった。
武漢卓爾には日本のファンに馴染み深い選手がいる。2014年途中から'16年までアルビレックス新潟で、そして2017年に浦和レッズでプレーしたブラジル人FWラファエル・シルバ(28)である。
新潟ではJ1残留に貢献。浦和ではJリーグでチーム2位の12得点をあげ、アジアCLで11試合に出場して9得点と大活躍。とりわけアルヒラル(サウジアラビア)との決勝の2試合ではチームの2得点を1人で叩き出し、優勝の立役者となった。
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そして、2018年1月、浦和に推定約9億5000万円の移籍金を残して武漢卓爾へ。2018年は23試合で22得点をあげて2部優勝と1部昇格に貢献し、昨年は15試合に出場して8得点をあげた。
彼にはスペインから武漢へと帰れなかった時期に書面で取材をさせてもらったが、このタイミングで再びコメントをもらうことができた。
中国人選手は冷たい視線を……。
――武漢駅へ戻ってきたときの気持ちは?
「本当に長かったな、と思った。夜遅い時間だったのに、多くのサポーターが駅まで出迎えてくれて感激した。これまでの苦労が少し報われた気がした」
――異例の長さとなった合宿期間中、最もつらかったことは?
「いつ終わるのかわからない、という精神的な苦しさ。スペイン国内を転々として、中国に帰国してからも約1カ月間、武漢へ戻れなかったからね。夜、いろいろなことを考えて、眠れないこともあった」
――スペインで、中国のチームということで差別的な扱いを受けたことはあったか?
「僕はそうでもなかったけど、中国人選手はどこへ行っても冷たい視線を浴び、邪険にされることが少なくなかった。見ていて可哀そうだった」