熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
武漢に3カ月半ぶり戻れたR・シルバ。
コロナ封鎖解除の街はどうなった?
posted2020/05/07 07:00
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Getty Images
クラブカラーであるオレンジのユニフォームやジャンパーを着込んだ数十人のサポーターが「橙市英雄 歓迎回家」(オレンジ色の町の英雄たちの帰還を歓迎する)、「武漢必勝」などの横断幕を掲げ、ヴィレッジ・ピープルの1979年のヒット曲「ゴー・ウエスト」の替え歌を合唱して迎える。
スペイン人のホセ・ゴンサレス監督やコーチ陣、選手のひとりひとりに、花束が手渡される。やや緊張した面持ちの者、家族や知人の顔を見つけて破顔一笑する者……。
4月18日夜、中国1部の武漢卓爾が武漢駅に帰り着いた。104日間という世界フットボール史上最長記録を大幅に更新した(であろう)長い長いプレシーズン合宿の、少なくとも“前半”を終えて。
コロナ禍に弄ばれた3カ月半。
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この3カ月半の間、チームは新型コロナウイルスに弄ばれ続けた。
昨年12月に武漢で新型コロナウイルスが発見され、1月1日、その発生源とされる海鮮市場が閉鎖された。
武漢卓爾は、1月2日から中旬まで広州で第一次合宿を張る。旧正月(春節)休みでいったんチームは解散し、1月29日から2月18日までスペイン南部で第二次合宿を行なう予定だった。
1月23日、ウイルスの感染拡大を理由に、突如、武漢の町が封鎖される。選手たちの多くは、武漢に残した家族を気遣いながら、スペインへ向かう。
チームは、マラガなどで練習を開始。近隣のプロチームと多くの練習試合をこなしてチームを強化する予定だったが、いろいろな障害に直面する。
1月中旬以降に中国で感染が広がり、クラブはスペイン滞在を延長することを決めた。ところが3月以降、今度はスペインで感染が爆発的に拡大。中国よりむしろ危険な状態となり、3月16日に帰国する。