熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
武漢に3カ月半ぶり戻れたR・シルバ。
コロナ封鎖解除の街はどうなった?
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2020/05/07 07:00
4月、武漢に戻った時のラファエル・シルバ。新型コロナウイルスの脅威がひとまず去ったが警戒は緩めていないという。
相手は体を当てるのを嫌がった。
――スペイン合宿では、地元のチームと練習試合をしたのか?
「監督がスペイン南部の出身で、多くのクラブとコネがあったのに、プロチームはどこも相手にしてくれなかった。
アマチュアクラブと3試合やったけど、相手選手は我々と体が当たるのを明らかに嫌がっていた。理想的な強化ができたとは言い難い」
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――他の中国選手はどんな様子だったか?
「新型コロナウイルスで死亡した肉親や知人がいる選手が何人かいて、とても落ち込んでいた。全員、中国に残してきた妻子、両親、兄弟らのことをいつも心配していた」
――チームは、ウイルスの発生地を出発し、イタリアと並んで欧州で最も感染が広がったスペインに長期滞在し、またウイルス発生地へ戻ってきた。
「今年のプレシーズン合宿の予定を立てたとき、クラブ関係者はまさかこんなことが起きるとは夢にも思っていなかっただろう。
誰のミスでもない。運命と考えるしかない」
クラブハウスでは全員、全身消毒。
――すでに武漢でのチーム練習は始まったのか?
「4月22日、クラブのトレーニングセンターで練習を再開した。クラブハウスに入るときは全員、全身を消毒する。感染を避けるため、最大限の注意を払っている」
――2月22日開幕の予定が延期されたリーグ戦の開幕への見通しは?
「6月末か7月初めに開幕する方向で準備が進められていると聞いた。早く安全な状況になって、またプレーをしたい。1年の約半分を準備に使うなんて、もちろんキャリアで初めて。でも、プロとしてクラブ、チーム、リーグの方針に従うしかない」
――武漢の町の様子は?
「まだあまり外出していないけれど、部分的に商店が営業を始めたりしているようだ。でも、ウイルスの脅威が完全に去ったわけじゃないから、住民は非常に警戒している。
僕も、家とトレーニングセンターの往復と食料品の買い出し以外は、外出しない」