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Bリーグ川崎・篠山竜青が寄付活動。
プロ選手は常にカッコよくあれ!
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph bykawasaki bravethunders
posted2020/04/25 11:50
昨年負った怪我から復帰し、さあこれから! という時にリーグが中断され、その後中止に。篠山竜青の挑戦は続く。
NBAの選手の行いを見てすぐに決心!
「クリーブランド・キャバリアーズのケビン・ラブ選手が、ホームアリーナで働くスタッフのために寄付をするというニュースを見たのがきっかけでした。NBAの中断が決まってからアクションを起こすまでがすごく早かった。そのスピード感はリスペクトできると思ったし、日本のスポーツ界でもそういう動きがもっと活性化されていいんじゃないか、という思いがありました」
ラブは、NBAの中断が発表された3月11日からわずか2日後には、減収を強いられるスタッフへの10万ドルの支援を表明している。躊躇なく行動を起こす姿、自分より先に他者を思いやることができるやさしさ。シンプルに、篠山は感化された。
ラブと同様、ホームアリーナの運営に関わるスタッフをなんとかして支えたいと考えた。
選手はシーズン単位で契約を結んでいるが、スタッフの多くは、試合の開催ごとに仕事が発生し、収入を得ている。試合数の減少、あるいは消滅は、彼らの生活にダイレクトに響く。
「川崎はスタッフと選手の距離が非常に近いチーム」と話す篠山が、とどろきアリーナでともに戦ってきた彼らの顔を思い浮かべたのは、とても自然なことだった。
「『いちばんにやったぜ!』と言えたほうがいい」
「Bリーグになる前までは実業団チームで、ぼくも社員選手でしたし、運営や裏方の人たちの思いはわかっているつもりです。いまの状況に不安を感じている人たちに、“選手が何かをしようとしてくれている”と伝わることで、少しでも安心感につながるんじゃないかなって……。だから一日でも早く言ってあげたかった。
あとはやっぱり、こういう良い行いをするんだったら『いちばんにやったぜ!』と言えたほうがいい」
この取り組みの支援の対象となるのは、アリーナMCやチアリーダー、さまざまな形で試合の運営に携わるアルバイトなど。さらに、アカデミーやユースチームのスタッフも含まれる。彼らもまた、開講のたびに仕事が成立する働き方をしており、このたびの活動休止によって収入源を失うことになったからだ。
ただ、使命感に駆られながらも、篠山は突っ走らなかった。寄付は美しい行為だが、実際には難しさもある。