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Bリーグ川崎・篠山竜青が寄付活動。
プロ選手は常にカッコよくあれ!
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph bykawasaki bravethunders
posted2020/04/25 11:50
昨年負った怪我から復帰し、さあこれから! という時にリーグが中断され、その後中止に。篠山竜青の挑戦は続く。
「寄付はあくまで自発的になされるべき」
篠山は言う。
「たとえば、ぼくら30歳前後の選手と大学を出たばかりの選手では、もらっているお給料が違う。いきなり選手全員に声をかけて、『寄付しなければいけない』という空気をつくるのはあまりいいことではないと思いました」
1人の思いが全員の思いと同じとは限らないし、寄付はあくまで自発的になされるべきものだ。篠山は急ぎたい気持ちを抑えつつ、慎重に事を進めた。
「(同年代の)辻直人選手にまず相談し、そのうえで最終的には選手全員に声をかけることにしました。一口いくらとか細かいことは決めず、気持ちだけでいいよ、と。みんな、『ぜひ協力したい』と言ってくれた。それぞれが出す金額が選手間で共有されるのはあまり好ましくないと思ったので、とりまとめはクラブにお願いしました」
こうして川崎の選手たちが出し合った総額300万円は、4月末日、一時金という形で対象となる人たちのもとに届けられるという。
プロスポーツ選手のカッコよさを伝えたい。
Bリーグは、創設から4シーズン目と歴史は浅い。選手年俸の水準も、欧米の主要スポーツはもとより、日本のプロ野球やJリーグなどと比べても、まだ決して高いとは言えない。
しかも、今シーズンは途中で打ち切りとなり、来シーズンの見通しさえも不透明だ。
現実としては、選手たち自身こそが不安定な立場にある。にもかかわらず、自らの身を切ることにためらいはなかったのだろうか。
「来シーズンのお給料がどうなるのか……やっぱり、少しは考えました。でも、それ以上に『プロのスポーツ選手ってカッコいいんだな』ということを、若い世代であったり、ファンの方たちにしっかり示すべき機会だと思いました。NBAの選手たちに比べれば、ぼくらが寄付できる金額は規模が違います。でも、こういう行動を起こしているんだよって知ってもらうことは、誰の損にもならない。このカッコつけ方で誰も損はしないと思うんです」