熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
本田圭佑ブラジル初戦を現地取材。
メッシ的な自在さ、健在の勝負強さ。
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byZUMA Press/AFLO
posted2020/03/18 12:00
自らが名乗り出たPKでキッカーを務め、見事に初ゴール。無観客試合でも本田圭佑らしさは全開だった。
後半も本田は「オーナー」だった。
39分、惜しい場面があった。
カウンターから、右サイドへ開いた本田へパスが通る。縦へ突破するとみせかけてドリブルで中へ。相手CBは完全にバランスを崩し、もう一度ボールに触ったらフリーでシュートを打てる状況だった。
ところが左足のアウトサイドでボールを押し出そうとして、足先がボールに引っかかって転倒。絶好のチャンスを逃した。
さらに前半アディショナルタイムのこと。ボタフォゴは右サイドでチャンスを作る。低いクロスが入ってナザリオが小さく戻すと、本田が左足で強烈なシュート。コースはゴールの枠を捉えていたが、センターバックの肩に当たって外れた。シュートがもう30センチほど上だったら、ゴール右上隅に飛び込んでいただろう。
後半も、本田は相変わらず「チームのオーナー」だった。ただしチーム全体のスピードと運動量が低下し、なかなか決定機を作ることができない。58分、バングーに右サイドを崩され、GKの頭を越す技ありのシュートで追いつかれてしまった。
後半途中の交代シーンでは……。
勝ち越しを狙うボタフォゴのパウロ・アウトゥオリ監督は63分、本田に交代を告げた。
本田はピッチを出ると、飲み物を持って出迎えたチームのマッサーに何か言ってベンチに座る。
試合を中継していたテレビ局のピッチリポーターは「『なぜ自分が交代させられたのか理解できない』と英語で口にしていた」と伝えた。
本田の交代後、ボタフォゴは得点はおろか、決定機を生み出せない。中盤で確実にボールをキープし、効果的なパスを散らす選手がいなくなり、選手交代は効果を発揮しなかった。
結局、試合は1-1の引き分け。ベンチで試合終了を見守った本田は、真っ先にロッカールームへ向かった。