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絵になる男・四位洋文の引退式。
GIを15勝、「次は調教師として」。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2020/03/02 18:30
四位洋文とウオッカが勝った2007年の日本ダービー。この直線は今見ても目が釘付けになる。
ダービー連覇、しかも牡馬と牝馬で。
'96年にイシノサンデーで皐月賞を勝ち、GI初制覇。ダンスパートナーで同年のエリザベス女王杯も制する。
2001年からアグネスデジタルの主戦となり、岩手の南部杯、天皇賞・秋、香港カップ、翌’02年のフェブラリーステークス、’03年の安田記念を優勝。芝とダート両方のGIを制する「二刀流王者」の鞍上として活躍した。
'07年にはウオッカで日本ダービーを優勝。牝馬としては64年ぶり、史上3頭目のダービー制覇であった。そして、翌’08年もディープスカイで日本ダービーを制覇。’98、’99年の武に次ぐ、史上2人目のダービー連覇をなし遂げた。牝馬と牡馬の両方でダービーを勝ったのは史上初の快挙だ。
ディープスカイは1番人気で、本人も勝てると思って臨んだという。「ずっとプレッシャーのなかでの競馬でした」と振り返ったが、4コーナーで15番手という後方からきっちり差し切った。前年ダービーを勝っていたからこそできた、冷静かつ大胆で、見事な騎乗だった。
通算1586勝。JRA重賞は、GI15勝を含む76勝という、素晴らしい成績をおさめた。
「みんな泣かそうと必死だなと」
引退セレモニーのとき、四位に涙はなかったが、話す声はかすれて、心なしか少し震えていたように聞こえた。
「みんな泣かそうと必死だなと思いましたけど、我慢しました。ノリさん(横山典弘)から花束を受け取ったときはやばかったです。まだ引退した実感はありません。来週、金曜日になって『あ、調整ルームに入らなくていいんだ』と思ったときに、初めて実感が湧いてくるんじゃないかな」