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“マキバオーと同じ”白毛のソダシは「圧倒的なスター感がありますよね!」動物マンガの名手・つの丸が“保護犬活動”に尽力する理由
posted2022/06/26 11:02
text by
屋城敦Atsushi Yashiro
photograph by
Shiro Miyake
「今はすごく幸せな生活をしています」
幾たびもの長期連載を終えた現在について、つの丸はそう話す。
「毎日のように海に行って、サーフィンをして、犬と遊んで……。それだけの生活を楽しんでいます」
そして現在は競馬とは少し距離を置いて、かつてのようにGI競走をたまに買う程度に楽しんでいるという。
「10年以上、毎日マンガと競馬に向き合ってきましたから。満腹を通り越してしばらくは離れたいなという気持ちなんですよ」
馬券もかつてのように、ゴール後に「あれ? この馬券買っていたかな?」と三連単を買い込むようなことはしなくなり、好きな馬の単勝を少しだけ買うなど、気軽に楽しむスタイルに変えた。「一歩引いて俯瞰した目で見ると、また違った楽しみが味わえますよね」と笑う。
マキバオーと同じ白毛!ソダシの“主人公感”が凄い
そんなつの丸にとっても、これまで桜花賞などGIを3勝しているソダシの登場は衝撃だったという。「圧倒的なスター感、主人公感がありますよね。白っぽい芦毛ではなく、綺麗に真っ白で。誰がどこから見ても、真っ先に目が行くほどの存在でしょう」
『みどりのマキバオー』の主人公、ミドリマキバオーが白毛というのは、当時まだ白毛が偶然の産物でしかなく、活躍するなど夢のまた夢だと思われていたという背景があった。しかしソダシは、白毛馬として活躍できるように祖母のシラユキヒメ(白毛)から積み重ねられた血統から生まれた、文字通りの“サラブレッド”である。
「それでいて主戦が吉田隼人というのもまた味がありますよね。どこか挑戦者的な要素を残しているのが“主人公感”を増幅させていると思います」
2020年の競馬界も驚きだった。コントレイル、デアリングタクトと無敗のクラシック三冠馬が牡牝で同時に誕生し、しかもその2頭がジャパンカップで、前々年の牝馬クラシック三冠馬にしてGI通算9勝目を狙う現役最強馬アーモンドアイと激突するという、空前の出来事があったのだ。
「もし僕がそんなレースをマンガで描こうとしたら『こいつセンスねえな』って絶対言われますよ。むしろ僕も言う(笑)。それくらいリアリティーのない話だと思っていました」