球体とリズムBACK NUMBER
ジダンとペップよ、難癖を黙らせろ。
マドリーvs.マンCに漂う激闘の予感。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2020/02/26 18:00
CLマンチェスター・シティ戦に向けた記者会見に臨むジダン監督。グアルディオラ監督との采配面での勝負は、間違いなく見ものだ。
アザールが再び負傷で離脱したが。
一方、ジダンが統率するマドリーは、CLグループステージでクラブ史上最悪のスタート(最初の2試合で勝ち点1)を切った。10月にはリーガで久保建英を擁するマジョルカに敗れるなど、シーズン序盤戦は苦しんだものの、そこから持ち直して、先週末を迎える前までCLとリーガで負けなしを続け、リーグ戦では首位にも返り咲いていた。
しかし直近のレバンテ戦で0-1の敗北を喫したうえ、前節で長期離脱から復帰したばかりのエデン・アザールが再び負傷。一昨季までロナウドが背負った7番をまとう、エースと目される29歳は、シティとのCLと、その4日後に控えるバルセロナとのクラシコに出場できなくなった。
ただしこのベルギー代表は今季、コンディションが整わず、新天地マドリーでほとんど活躍できていない(全公式戦15試合1得点)。レバンテ戦でも複数のチャンスをふいにした。
それをふまえると、これは急に被った大きな損失ではない。実際、彼が復帰したリーガの2試合は勝利に見放されている。
ジダン対グアルディオラではなく。
ジダン監督はシティ戦の前日会見で、「我々に必要とされるのは、良いパフォーマンスをすることだ。すべてはそれに尽きる。たった1、2試合の悪い結果にこだわることなく、自分たちの強みにフォーカスしなければならない」と静かに話した。
監督として参戦したチャンピオンズリーグの全3大会で優勝を遂げている指揮官は、敵将グアルディオラこそ世界一の監督だと思う、とも語った。こんな風に相手を讃えた後、最後にトロフィーを掲げたのはいつもジズーだったけれども。
伝統と勝負強さのマドリーか、精度とコンディションで上回るシティか。ここを勝ち上がった指揮官にはチームを頂点に導いて、「ロナウドがいたから」、「メッシがいたから」といつまでも難癖をつける批評家たちを黙らせてもらいたい。ただし、ジダンはいつもの囁くようなトーンでこうも言った。
「これはジダン対グアルディオラではなく、レアル・マドリー対マンチェスター・シティだ。面白い試合になる」