球体とリズムBACK NUMBER
ジダンとペップよ、難癖を黙らせろ。
マドリーvs.マンCに漂う激闘の予感。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2020/02/26 18:00
CLマンチェスター・シティ戦に向けた記者会見に臨むジダン監督。グアルディオラ監督との采配面での勝負は、間違いなく見ものだ。
ペップが一番欲しいのはCL王者。
昨季のこの大会の同じステージでは、カタルーニャ出身の監督にそんな質問が投げかけられた。
シャルケとのCLラウンド16前の公式会見で、「あなたがバルセロナ時代に至高のタイトルを獲得できたのは、メッシを筆頭にシャビやアンドレス・イニエスタといった特別な選手に頼れたから。そんな指摘がありますが?」と。
するとペップは「完全に同意するよ」と返答。「それは自分でも認めるところだ。私は本当にラッキーだった」
昨季は結局、その次の準々決勝でトッテナムに競り負けてしまった。16強、8強、8強と、ペップのシティは一番ほしいトロフィーに近づくことさえできていない。そして今季、彼らはふたつの理由によって、これまで以上にCLのタイトルを渇望している。
ひとつめは、リバプールの独走により、プレミアリーグの優勝の行方がほぼ決まっていること(第27節終了現在、26勝1分の勝ち点79で2位シティと22ポイント差)。ふたつめは、ファイナンシャル・フェアプレー(FFP)の違反により、来季から2シーズンのCL出場権を剥奪されそうな状況にあることだ。
チーム状態はシティの方が上か。
そんななか、決勝トーナメントの最初に白い巨人が立ちはだかる。これは不運にも思えるが、チーム状態はシティが上に見える。
何より、守備の要アイメリック・ラポルテが長い負傷離脱からタイミングよく戻ってきたことが大きい。このフランス代表CBが出場したリーグ戦直近3試合は無失点で勝利。苦しんできた最終ラインに安心感が広がっている。
またケビン・デブライネを中心とした攻撃陣は流麗なパスワークはもとより、ピッチ上での修正力を増している印象で、先週末のレスターとの上位対決では凡庸な前半のあと、後半にスピーディなポゼッションから猛攻を仕掛け、きっちりと1-0の勝利を収めている(セルヒオ・アグエロはPKを失敗したけれども。なおシティはここ最近7度のPKのうち5回失敗)。
「チャンピオンズリーグの直前に、とても良い相手と素晴らしいテストができた」とグアルディオラ監督は試合後の会見で述べ、相応の手応えを示した。