セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
新型コロナでセリエA延期&無観客。
政府と迅速に連係、日本への視線は?
posted2020/02/25 18:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
新型コロナウイルスが、欧州スポーツ界にも影響を与え始めている。
23日(日)、セリエAの3試合が特別政令によって開催延期に追い込まれた。
前日の夜、イタリア共和国首相ジュゼッペ・コンテは臨時閣議を招集し、感染地域での自由行動制限やアクセス禁止、民間イベントの禁止令等からなる「対コロナウイルス感染拡大防止特別政令」を即時発効させ、延期に踏み切った。
感染症のためにセリエAの試合が延期に追い込まれるのは、リーグ史上初めてのことだ。一度に数万人を動員するセリエAの試合休止が、経済や流通に与える影響は少なくない。
「次の週末も同様の(試合延期)措置を行使するかは現時点で何ともいえない」
日曜夜の民放番組に出演したコンテ首相は、苦渋の面持ちで言葉を選んだ。
事態はリアルタイムで変化し続けており、状況は予断を許さない。
24日(月)夜時点で感染者220人超、死者7人を出しているイタリアは、EU圏で最も新型肺炎の脅威に晒されている国だ。21日(金)に国内最初の死亡例が確認され、その後週末を通じて急速に危機感が高まった。
バレー、スキー、ゴルフも延期。
感染は国内北部のロンバルディア州とヴェネト州に集中しており、今回の政令による試合延期措置はその地域内で予定されていた3試合(アタランタ対サッスオーロ、インテル対サンプドリア、ベローナ対カリアリ)に出されたものだ。
23日(日)の朝、隣接するピエモンテ州も政府の姿勢に追従し、トリノ対パルマの開催許可を取り消した。いずれの試合も代替開催日はまだ決まっていない。
政令が指定する2州では、5部アマリーグから育成年代の各カテゴリーまで週末の計43試合が休止になった。
さらに、バレーボールやホッケーの地域リーグ戦、ゴルフの公式戦や競泳レースも、延期もしくは休止に追い込まれている。
今週末にはピエモンテ州に隣接するヴァッレ・ダオスタ州でアルペンスキーのW杯大会が、また3月中旬にはイタリア東北部コルティナ・ダンペッツォで同ファイナルが予定されているが、大会の中止か開催地変更の可能性も取りざたされている。