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大久保嘉人が語るプロ20年目の決意。
「おれはまだまだやるぞ、という」
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph byTetsuro Kaieda
posted2020/02/18 11:50
38歳となるシーズンでもオーラを放つ大久保嘉人。そのパーソナリティで、ヴェルディ復権の一翼を担えるか。
セレッソ時代は散々怒られた。
今年は節目となるプロ20年目のシーズンだ。ここに至るまでの重要なターニングポイントは、セレッソ大阪でのプロ2年目、2002シーズンのJ2にあったという。
「1年目は故障が続き、満足にプレーできませんでした。左足首の三角靭帯を痛め、ワールドユース(現FIFA U-20ワールドカップ)も辞退。チームがJ2に落ちた2年目も最初はレギュラーではなく、周りにけが人が多くて自分に先発のチャンスが回ってきたんです。ここでダメだったら終わりだと思っていたところ、2点取って一気にはずみがついた」
第3節の湘南ベルマーレ戦、初のマルチゴールを決めた大久保は急成長を遂げていく。得点王争いを演じ、結果、19得点のマルクス(アルビレックス新潟)には及ばなかったが、日本人トップの18得点をマーク。C大阪をJ1に復帰させる立役者のひとりとなった。
そのとき以来のJ2だ。心機一転、初心に返るのも悪くないだろう。
「若い頃は先輩方から散々怒られましたね。周りは、アキさん(西澤明訓)、森島(寛晃)さん、田坂(和昭)さんなど日本代表ばかり。おれはとにかく自分が点を取りたいだけで、味方のためにスペースを空ける動きとか考えたこともなかったんです。
調子に乗ってアウトサイドでパスをしてたらミスって、アキさんから『おまえは一生アウトでボールを出すな!』って激怒されて。そのせいで、いまでもアウトはめったに使わない。パスは体勢を素早く変えて絶対にインサイド」
復活を目指すヴェルディに貢献したい。
そうして鍛えられていた当時の大久保とほぼ同年代、18歳の久保建英がかつて自身も在籍したマジョルカで奮闘している。
「試合は観てます。マジョルカでキーになれる選手だと思いますが、チームが苦しい状況でディフェンスに追われることが多いのがね。もう少し全体の調子が上向けば、違いを出すプレーを増やせるでしょう。彼の場合は、日本より、むしろスペインのほうがやり易いのでは。あっちのディフェンスは一発で飛び込んできてくれるので、対応がシンプルになる面がある」
その一方、大久保と同期の1982年生まれの選手は櫛の歯が欠けるように、ひとり、ふたりとその姿を消している。今年で38歳。Jリーグで現役を続けるのは、田中達也(アルビレックス新潟)、田中隼磨(松本山雅FC)、林卓人(サンフレッチェ広島)など、数えるほどになった。
「おれはまだまだやるぞ、という気持ちです。復活を目指すヴェルディに貢献したい。この面白いサッカーで、みんなを振り向かせたい」