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大久保嘉人が語るプロ20年目の決意。
「おれはまだまだやるぞ、という」
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph byTetsuro Kaieda
posted2020/02/18 11:50
38歳となるシーズンでもオーラを放つ大久保嘉人。そのパーソナリティで、ヴェルディ復権の一翼を担えるか。
最近はサッカーをしている気が……。
とはいえ、近年の個人成績、残す数字は著しく減少傾向にある。2017年、FC東京で8点。2018年は川崎で2点、ジュビロ磐田で3点の計5点。昨季は磐田でキャリア最少の1点に終わった。
「最近はサッカーをしている気がしなかった。目先の勝ち負けは当然大事なんですが、ひたすら頑張ろうとするだけで、はたしてこれで先につながるのだろうかと。もったいないな、やり方次第でもっと巧くなれるのになと感じてましたね。その点、ヴェルディの若い選手たちは幸せですよ。サッカーに取り組む過程で、頭に入ってくる内容の質と量が違う」
永井監督の推し進めるサッカーを旗印に、盛んにリブランディングを図る東京Vと、返り咲きを期す大久保。ふたつの野心が合わさって勢いを生むようなら、昨季の13位からランクアップし、J2をかき回すダークホースの役どころを演じるかもしれない。
生まれが北九州なんでね。
ただし、一流であるがゆえに周囲に対する要求も甘くはない。試合や練習では、プレーのわずかなズレをめぐって、容赦なく厳しい言葉が投げつけられる。
「こうしたほうが簡単に点を取れるとわかっているから、伝えるべきことを伝えます。周りに言うことで自分にプレッシャーをかけ、結果で応えるしかないところまで追い込むためでもある。言い方はたしかにきついところがあるでしょう。生まれが北九州なんでね。ふつうに話しているだけなのに、喧嘩してるの? と勘違いされる土地柄です」
そう言って大久保は、ピッチとは打って変わり穏やかな笑みを浮かべる。こればかりは致し方なし。周りがコミュニケーションに慣れて、求められる水準に追いついていくほかなさそうだ。
今季の東京Vの命運は、この稀代のストライカーを使いこなせるかどうかに懸かっている。