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日本有数のオールラウンダーは19歳。
湘南・鈴木冬一の五輪の目指し方。
posted2020/02/18 19:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
東京五輪世代で屈指の、もっと言えば日本サッカー界でも稀有なオールラウンダーと言っていい。
湘南ベルマーレに所属する鈴木冬一だ。プロ2年目の19歳である。
五輪のサッカー競技は、18人でチームが編成される。W杯より5人も少ない。ふたりのGKを除けば、フィールドプレーヤーは16人になる。複数のポジションに対応できるポリバレントなタイプは、森保一監督が掲げる金メダル獲得という目標に照らしても、欠かすことができないと言える。
鈴木はレフティーだが、左右両サイドでプレーできる。プロ入りまでは攻撃的なポジションで、「右サイドからのカットインやスルーパスをストロングポイントに」していた。そのうえで、セレッソ大阪のU-18から長崎総合科学大学付属校へ転入した高校3年時は、「左サイドでプレーする機会が増えた」という。
Jリーガー1年目となった2019年は、左右両サイドで起用された。3-4-2-1のシステムでウイングバックを主戦場としつつ、3バックにも入った。ダブルボランチのひとりを担ったこともある。
かくも多くのポジションを無理なくこなせるのは、東京五輪世代はもちろん日本サッカー界を見渡しても希少価値が高い。森保監督が湘南と同じシステムを戦術の軸足に据えていることも、彼にとってはセールスポイントになるはずだ。
東京五輪世代では昨年11月が初招集。
若年層の国際大会にも出場してきた。'17年のU-17W杯に久保建英らとともにメンバー入りし、チームの全4試合に出場した。昨年のU-20W杯も湘南でのアピールが実り、開催地ポーランドへ乗り込むことができた。
しかし実は東京五輪を目ざすチームには、昨年11月のU-22コロンビア戦が初めてのリストアップだった。しかしケガ人が出たことによる追加招集で、試合に出場することはできていない。それがまた、明るくて真っすぐで、なおかつ勝気なメンタルを刺激した。
「湘南でいいパフォーマンスをして、次も呼ぶしかないというふうにさせたい。そう思わせてくれた初招集でした」