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久々に素敵で完璧なミラノダービー。
インテルとミラン復権の第一歩に。

posted2020/02/14 18:00

 
久々に素敵で完璧なミラノダービー。インテルとミラン復権の第一歩に。<Number Web> photograph by Getty Images

イブラヒモビッチの個の力を封じ、勝ち切る。コンテ率いるインテルに、チームとしてのたくましさを感じる。

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神尾光臣

神尾光臣Mitsuomi Kamio

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Getty Images

「素敵な夜だった。完璧な試合だった。前半はミランが良く、後半はインテルが良かった。歴代のミラノダービーにおけるベストマッチの1つに入ると思う」

 2月10日、インテルの元会長であるマッシモ・モラッティ氏は、市内でイタリア民放TV局メディアセットのインタビューに、そう応えた。9日に行われたセリエA第23節、ミラノダービーの感想である。

 インテルとミラン。両クラブともに経営難による弱体化と、資本譲渡を経験した。その結果、かつてはエル・クラシコと並んで世界的な注目を集めていたミラノダービーも、近年は低調な試合内容を批判されることが多くなっていた。

 タレント不足が嘆かれ、試合ではミスが目立ち、スペクタクル性に欠けるといった指摘がファンやメディアから出る。「勝者は見事なコレオグラフィーを展開した両サポーター」などと皮肉めいて書かれることもしばしばで、低調なミラノダービーはそのままセリエA凋落の象徴とまで言われるようになった。

試合は期待に違わぬ派手な展開。

 とはいえ、ここ2、3年は期待感がやや変わりつつあった。

 それぞれの新経営陣が積極的な投資を行ない、戦力を揃えにかかっていたからだ。特に今回のダービーへの期待は大きかった。首位ユベントスを追走する立場のインテルは、手薄な中盤の補強としてトッテナムからクリスティアン・エリクセンを引っ張ってきた。

 一方、リーグ戦で思わぬ低迷に喘いでいるミランは、冬の移籍市場でズラタン・イブラヒモビッチの復帰という博打を打ってきたのである。

 試合は、期待に違わぬ派手な展開となった。

 前半で圧倒したのはミラン。しかも、2ー0とリードした。ところが、後半にインテルが4ゴールを決めて、大逆転勝利を飾った。

 モラッティは「チームには反撃に転じるための能力が内在していたということだ」とインテルを持ち上げたが、「前半は素晴らしい試合をしていたし、別のチームだったら4、5ゴールは奪っていただろう」とミランも褒めた。弱体化が叫ばれ、復権に苦労している両チームは、歴代でも指折りの試合内容のダービーを展開できたということだ。

【次ページ】 美しくも行儀の悪いコレオグラフィー。

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