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久々に素敵で完璧なミラノダービー。
インテルとミラン復権の第一歩に。 

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神尾光臣

神尾光臣Mitsuomi Kamio

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photograph byGetty Images

posted2020/02/14 18:00

久々に素敵で完璧なミラノダービー。インテルとミラン復権の第一歩に。<Number Web> photograph by Getty Images

イブラヒモビッチの個の力を封じ、勝ち切る。コンテ率いるインテルに、チームとしてのたくましさを感じる。

エリア内に入るとイブラの独壇場。

 システムは、イブラヒモビッチをワントップに置いた4-2-3-1。戦術的な狙いは、インテルのパスの組み立てを壊すことにあった。ポイントとなるのは最終ラインとレジスタのマルセロ・ブロゾビッチからのパス出しを封じること。

 トップ下のハカン・チャルハノールがブロゾビッチにまとわりつき、また左のアンテ・レビッチ、右のサム・カスティジェホの両ウイングは、果敢にインテルの3バックの左右にプレスをかける。

 サイドからの組み立てを阻害されたインテルは縦パスを出さざるを得なくなる。しかし中盤にパスを出せば、フランク・ケシエとイスマエル・ベンナセルが、もの凄い運動量で身体を寄せてくる。前線のロメル・ルカクに縦パスを出そうにも、それを狙っていたかのような素早いインターセプトが続いた。

 ボールを奪うと、サイドの連係プレーでスピーディーに崩す。守備時に5バックとなるインテルはサイドの人数が少なくなりがちで、後手に回ってしまった。そして前線には、あのイブラヒモビッチがいる。

 エリア内にボールが来れば独壇場で、40分にはクロスを頭で落としてレビッチのゴールをお膳立て。前半終了間際のCKでは巧みな動きでDFのマークを外し、今度は自らヘッドで押し込んだ。クルバ・ノルドに向かって、これ見よがしに両手を広げる不敵なパフォーマンス。ピオリ監督は「前半は準備していた戦略がすべてできていた」と試合後の記者会見で語っていた。

ハーフタイムのコンテは冷静だった。

 インテルは、前半でまさかの2点ビハインド。激情家のコンテ監督はロッカールームでさぞ怒っただろうと思ったが、そうではなかったらしい。「そんなに話すこともなかった。ただ、どこを良くしていけばいいのかを確認した。頭を使った」とは指揮官だ。

 ハーフタイムでの選手交代はなし。ただ、一部の選手はポジションを細かく修正した。引きすぎていたアレクシス・サンチェスは前方へ、押され気味だったニコロ・バレッラとマティアス・ベシーノも、もう少し前でボールを受け取るように指示が出された。

 後半の立ち上がりにインテルが流れを掴むと、前半から攻守ともに全力で飛ばしていたミランが小さな、だが致命的油断を見せてしまった。

 インテルは右サイドのアントニオ・カンドレーバから攻撃を仕掛け、一旦はシュートをブロックされたが、動きを封じられていたブロゾビッチが、後方からノーマークで駆け上がってきた。そのままノートラップでシュートを打つと、ボールはゴール左下隅へ突き刺さった。

 後半開始6分で1点差としたインテルは、勢いに乗る。逆にミランはフリーズした状態となり、畳み掛けられるままにDFラインがオフサイドラインのミスを犯してサンチェスを自由にし、ベシーノの同点ゴールをお膳立てされた。

 ミランのリードが消えるまで、たった2分間の出来事だった。

【次ページ】 ユーべが敗れ、インテルが首位に。

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