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なぜマンCは2年間CL参戦禁止に?
現地発“バレンタインの惨劇”真相。
posted2020/02/17 12:00
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
英国のバレンタインデーは日本と同じく、女性が意中の男性やパートナーにプレゼントを贈る。どうやらペップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティは、欧州の勝利の女神には好かれていないようだ。
VAR(ビデオ判定)に泣いた昨季CL準々決勝敗退は、現体制下での過去3年間で2度目のアウェイゴールによる惜敗。今季はグループ首位で決勝トーナメント進出を果たしたが、1回戦の抽選でレアル・マドリーが対戦相手に決まった。そして去る2月14日、来季から2シーズンの「CL参戦禁止」を告げられてしまった。
UEFA(欧州サッカー連盟)による厳罰は、クラブ経営の健全化を図るフィナンシャル・フェア・プレー(FFP)規則に関して、重度の違反があったとする判断に基づく処分だ。
罰金36億円よりCL出場禁止の痛み。
翌朝の『デイリー・ミラー』紙は、スポーツ欄の1面で「バレンタインデーの惨劇」と報じた。決して、大袈裟すぎる見出しではない。
なお同時に言い渡された3000万ユーロ(約36億円)の罰金制裁は、シティにすればかすり傷程度。規模的には、報告書内にスポンサー収入の誇張があったとされる2012年度からの4年間でクラブが補強に費やした金額の9分の1程度にすぎない。
しかし、CL(およびヨーロッパリーグ)からの2年間の追放は、アラブ首長国連邦という後ろ盾の資金力と、グアルディオラという稀代の指揮官を誇るクラブにとって、その存在意義を否定されるかのような大打撃だ。
シティがグアルディオラを招聘したのは、2016年。オーナー交代からの8年で、すでに2度のプレミアリーグ制覇と3度の国内カップ優勝を成し遂げていた時期だ。そこに名実ともに現役最高クラスの監督を迎えた理由は、クラブ史上初の欧州制覇を実現するために他ならない。
当人も、内輪では「歴史を作りに行く」と言って就任を決めている。バルセロナ以外、より厳密に言えばリオネル・メッシのいないチームでのCL優勝というモチベーションもあったと思われる。
ところが、シティはそのCLの舞台に立つことすら許されない状況に追い込まれようとしている。