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吉岡里帆を育て、長嶋茂雄も活用。
阿部慎之助二軍監督「見られる効果」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/02/07 19:00
紅白戦で生還した増田陸(左)をグータッチで迎える巨人・阿部二軍監督。
去年までは閑散としていたスタンドが……。
とにかく新聞、テレビなど報道陣の数が激増した。
去年までは閑散としていたスタンドにもファンの姿が一軍並みとは言わないまでも、それに近づく勢いで増えている。
さらに巨人キャンプを訪れた評論家が、OBでゆかりのある人以外は、これまでほとんど立ち寄ることのなかったひむかスタジアムに足を向けるようになった。
もちろんそれらの熱視線の先には新監督がいるわけだ。ただ、同時に阿部監督が指導する若手選手にも、メディアや評論家、そしてファンの視線がいやが上にも注がれることになるのである。
一軍より30分早く始まり、一軍より遅く終わる二軍キャンプ。球場に一歩足を踏み入れると阿部監督の声が響き渡る。ティー打撃では選手の両足を広げさせて、次々と休む間もなくトスを上げる。
「もっと重心を低く! あと5センチ下げろ!」
最後はバットを振り切ったところで静止させて、その姿勢をキープさせる。
「技術じゃねえ! 体力と根性だ!」
ファンの歓声が響くのは場所をサブグラウンドに移したノックだった。
キャンプ2日目の2月2日には注目ルーキーの山瀬慎之助捕手と育成出身の田中貴也捕手をショートのポジションに立たせて30分間に渡って鬼ノックを打ちまくった。
「技術じゃねえ! 体力と根性だ!」
こう鼓舞しながら右に左に捕れるか捕れないか、微妙なところに絶妙なゴロを転がす。そのノックに1球、1球ファンから歓声が上がり、阿部と選手の掛け合いに拍手が湧き上がる。このスタンドや周囲を巻き込んだ活気こそ、選手が頑張れるエナジーとなっていくわけである。